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管理費等の金額変更は普通決議で出来るか
区分所有法において、
第18条
「共用部分の管理に関する事項は、前条(形状又は効用の著しい変更)の場合を除いて、集会の決議で決する。以下省略」また、
第19条
「各共有者は、規約に別段の定めがない限りその持分に応じて、共用部分の負担に任じ、共用部分から生ずる利益を収取する。」
と定められています。
管理組合は、管理費、又は修繕積立金に不足が生じることがあれば、その都度、集会の決議(普通決議)で可決すれば、区分所有者から徴収することができることとなります。

標準管理規約においては、
第48条三
「管理費等及び使用料の額並びに賦課徴収方法」そして、
第61条2項
「管理費等に不足を生じた場合には、管理組合は組合員に対して」第25条第2項(管理費等の額については、各区分所有者の共用部分の共有持ち分に応じて算出するものとする。)に定める管理費等の負担割合により、その都度必要な金額の負担を求めることができる。
標準管理規約においても、普通決議において可決できることが定められています。

それでは、規約内に具体的な金額が記載されている場合においては、その金額を変更することになり、その規約変更にあたり、普通決議では決議することが出来ず、特別決議が必要になるのでしょうか。

判例
平成14年11月5日神戸地裁(レ)第90号

判決原文
「前略・・、控訴人は、管理費等の額を変更するには規約改正の手続(特別決議)が必要であるから、本件決議は無効である旨主張する。 確かに、前記認定のとおり、本件規約26条1項は、区分所有者は、管理費及び修繕積立金等を被控訴人に納入しなければならないものとし、本件規約別表4「タイプ別管理費用明細書」には、専有床面積51.15平方メートルの住戸について、管理費月額が8340円、修繕積立金が2050円とそれぞれ記載されているところ、証拠(甲1)によれば、同条項には、「(管理費・・・・管理規約別表 4-1・2」、「(2 修繕積立金・・・・管理規約 別4-1・2」と記載されているから、管理費及び修繕積立金の額が本件規約により定められているようにも思われる。
しかしながら、証拠(甲1)によれば、同51条は、管理費等の額や規約の変更等については総会の決議を経なければならないものとしている(3、4号)ところ、同50条3項は、規約の変更に関する総会の議事は、組合員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上で決するものとし、他方、管理費等の額については、このような特別決議の対象事項とはされていないことが認められ、これが総会において特別決議の方法により決議することとされたこと(同条項5号参照)を窺わせる証拠はない。
仮に、管理費及び修繕積立金の額が本件規約により定められているものと解すると、総会においてこれらの額を決定することは規約の変更に当たることになるが、これは、同51条が規約の変更とは別に管理費等の額について規定し、同50条3項が規約の変更について管理費等の額とは異なる扱いをしていることと矛盾するから、そのような解釈は採用することができない。同26条1項は、管理費及び修繕積立金等の納入義務を定めるものにすぎず、これらの額を定めるものではないと解すべきである。同条項において本件規約の別表を引用しているのは、同附則3条が、総会において管理費及び修繕積立金等の額が決定されるまでの間、暫定的にこれらの額を本件規約別表4のとおりとしていることを明らかにする趣旨であると解される。

同附則3条が総会においてこれらの額が「決定される」との文言を用いていることも、管理費及び修繕積立金の額が本件規約により定められていないとの解釈に沿うものである。
したがって、総会において管理費及び修繕積立金の額を決定することは規約の変更に当たらず、特別決議を要しないものと解するのが相当であるから、控訴人の上記主張は理由がない。」

つまり、マンションの管理規約内にタイプ別(間取り別、専有面積別、住居、店舗)に具体的に月々の管理費、修繕積立金の支払額が記載されていたにしても、その記載された金額は、暫定的な金額であると解釈されました。管理費等の金額は総会において(標準管理規約においては第48条)決議するものであり、特別決議を必要とされるものではない。との判断が下されました。

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