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2015年4月不動産経済研究所によれば、全国で建設・計画されている超高層マンション(20階建て以上)が、10.15万戸に達することが判明したとされています。

特に首都圏では、2015年以降完成予定されている超高層マンションは262棟、7万7,825戸と急伸している。

超高層マンションで懸念されるのが「長周期地震」です。

この長周期地震の前に「固有周期」を簡単に説明しておきます。建物すべてにそれぞれ構造の特質に合わせた固有周期があります。周期とは、例えば時計の振り子が行って戻ってくるまでの時間です。

2階建ての木造建築物で1~2秒となります。木造でもツーバイフォー建築物は短く、在来工法の軸組工法はそれよりも長くなります。

鉄骨造の固有周期は長く、鉄筋コンクリート造は短く、その中でも壁式構造はさらに短くなる傾向にあります。

階数(高さ)も当然に大きく関係し、高ければ高いほど固有周期は長くなります。建物の耐震性に関して、この固有周期も重要なのですが、「共振」も非常に重大な影響を及ぼします。

例えば、皆さんが自宅の浴槽に浸かったとき、体を前後にゆらした経験はないでしょうか。浴槽で前後に体を大きく揺らすとそれに合わせて浴槽の水も前後に揺れます。そして、体の揺れと、水の揺れが同じくなった時、浴槽の大きな波となって浴槽の外に飛び出します。

つまり、浴槽の水の周期と、体の周期が同じくなった時、揺れが大きくなるのです。これを共振と言います。

地震にも周期があります。この地震の周期と建物の周期が一致した時は、この「共振」が起きて、建物に甚大な影響を及ぼすのです。

地震発生後の映像で、大破した建物のすぐ隣で、他の建物が無傷で立っていることがありますが、この固有周期、共振が大きく影響していることもあるのです。

一概に、ツーバイフォーは地震に強く、在来工法は地震に弱いとは言えないのです。

 

2015.12.18 産経新聞

南海トラフ 揺れ幅6メートル

長周期地震について、南海トラフで想定される揺れ幅は最大で6メートルも揺れる。内閣府の検討会で、揺れや建物への影響を初めて試算し公表した。大阪などの三大都市圏で特に顕著で、超高層のマンション、ビルの最上階では最大で毎秒2.5メートル、揺れ幅は両側併せて6メートルに達すると推計した。

南海トラフで過去に起きた大地震の震源断層がすべて動くマグニチュード9級の最大地震を想定。周期が2~10秒でゆっくりと揺れる長周期地震動の影響を分析した。

2015.12.19 朝日新聞

高層ビルの耐震基準強化へ、長周期地震動に対策 国交省

南海トラフ巨大地震による長周期地震動への対策として、国土交通省は18日、高さ60メートルを超える高層ビルの耐震性を強化すると発表した。新築の建物は設計の基準を見直し、既存の建物には補修への助成をする。2017年度にも制度改正する。

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