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国土交通省は、地震時に橋桁(はしげた)の落下を防ぐ装置「落橋防止装置」に溶接不良が見つかった事件に関して、従来判明していた99本以外にもさらに457本増えたと発表しました。香川、長崎県を除く45都道府県に広がりました。不正に関係した会社は12社になる。

落下を防ぐ装置の不正は「久富産業」が平成27年8月に京都市国道の「勧進橋」で発覚した。国土交通省によれば溶接の工程を省く手抜きがあったことと、さらには同社の製品を超音波検査をした民間検査事務所「北陸溶接検査事務所」の従業員が不正を隠ぺいしたケースもあったとしています。

また、他の業者が平成7年以降の物件で納入した製品をしらべたところ、11社が手抜きを認め43本の橋で不良品が使われていることが判明しました。このほか112社の製品を使った156本の橋で不良品が用いられていることが確認されました。
国土交通省発表(2015.12.4)
http://www.mlit.go.jp/report/press/road01_hh_000555.html
http://www.mlit.go.jp/road/ir/ir-council/rakkyou/index.html、
産経新聞、道路構造物ジャーナルhttps://www.kozobutsu-hozen-journal.net/news/detail.php?id=106&page=1

毎日新聞 

久富産業の耐震装置問題で新たに2橋で不良 /京都

久富産業(福井市)が製造した橋りょう耐震装置の溶接不良問題で、京都市は28日、市管理の桃山高架橋(伏見区)と草原橋(右京区)で新たな溶接不良を発見したと発表した。これまでに発見された5橋と合わせ、市は元請業者に補修させる方針。

以前にも落橋防止構造の「アンカーボルト長不足問題」が発生しました。それは平成 14 年頃発生した、装置を固定するアンカーボルトの定着長不足問題です。

定着長不足の原因としては、 ボルト穴削孔時に既設躯体の鉄筋に当り十分な掘削長さが確保できなかったことにありますが、

①当時は鉄筋探査機等が普及していないため、既設鉄筋位置を当該橋梁建設時 の設計図書・資料から想定し施工した。

②落橋防止装置のアンカーボルトの設計・施工等について、明確な基準・出来形管理基準がなく、削孔長の全数検査も義務付けられていなかった。

等とされています。

尚、アンカーボルトの埋め込み長さ(定着長)不足問題発生の経緯としては平成7年の「阪神淡路大震災」を受け、全国的に橋梁の耐震性を強化するため、地震の揺れで既設橋梁の橋桁が落ちるのを防ぐ目的で「落橋防止装置」の工事が実施されてきましたことがありますが、今回の事件はアンカーボルトの問題から、溶接の問題にまで広がったことになります。

さらには、笹子トンネルの天井版落下事故もアンカーボルトの定着部分の強度不足が原因でした。

笹子トンネル概要

笹子トンネル歴史
1975年(昭和50年) – 完成。施工は大成建設と大林組の共同企業体
1977年(昭和52年)12月20日 – 供用開始
2005年(平成17年)10月1日 – 日本道路公団民営化、中日本高速道路株式会社に継承
2012年(平成24年)12月2日 – 上り線の東京寄りの場所で、天井が崩落する事故が発生。

設計;日本道路公団?
施工;大成建設と大林組の共同企業体
トンネル管理者;中日本高速道路(代表取締役吉川良一氏)http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-07-15/2015071514_01_1.html

トンネル天井板の落下事故に関する調査・検討委員会
報告書http://www.mlit.go.jp/common/001001299.pdf

毎日新聞 

笹子トンネル事故判決

2012年12月、9人が死亡した中央自動車道・笹子(ささご)トンネル天井板崩落事故の遺族が、管理会社の中日本高速道路(名古屋市)などに9億円余の損害賠償を求めた訴訟で、横浜地裁は22日、同社側に約4億4000万円の支払いを命じた。市村弘裁判長は争点の過失責任について、「老朽化した設備の適切な点検を怠り、防げる事故を回避できなかった」と、ほぼ原告側の主張通りに認定した。

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