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訴状

平成25年1月4日

東京地方裁判所民事部 御中

原告ら訴訟代理人弁護士

当事者 別紙当事者目録記載のとおり

不当利得返還請求事件
訴訟物の価額        円
貼用印紙額         円(調停申し立て時との差額)

請求の趣旨
1 被告は、原告Aに対し、金OO円、原告㈱Hに対し金OO円、原告㈱Bに対し、金OO円、原告Cに対し、金OO円、原告Dに対し、OO円、原告(有)Eに対し、OO円、原告F、に対し、OO円、原告Gに対し、OO円、原告Hに対し、金OO円、原告Iに対して、金OO円、原告J及びKに対して、金OO円、原告Lに対して、金OO円、原告Mに対して、金OO円の金員並びに原告Iの請求分金OOについては本訴状送達の翌日から支払い済みまで、原告I以外の原告らの請求する各金員に対する平成24年6月20日から各支払い済みまで年5分の割合による金員を支払え

2 訴訟費用は被告の負担とする

3 第1項につき仮執行宣言

請求の原因

1 当事者
原告らはいずれも、「SDマンション」(以下「本件マンション」という。)の区分所有者であり、被告の組合員である。
被告は、本件マンションの管理組合法人である。
本件マンションの専有部分は、19戸の店舗と124戸の住戸及び1戸の施設(児童館。以下「施設」という。)の合計144戸で構成されている。
原告らが所有する専有部分はいずれも、店舗である。

2 管理費等の増額
被告は、平成18年5月14日、総会を開催し、各区分所有者の負担すべき修繕積立金を、平成18年8月分以降、従前の負担額の一律12.5倍に増額する旨決議した。その結果、原告らの各負担すべき管理費及び修繕積立金(以下、「管理費等」という。)は、別紙管理費等目録記載のとおりとなった。

3 格差の存在及びその無効
(1)被告の管理規約(以下単に「管理規約」という。)は、平成18年5月14日発効の旧管理規約の25条2項及び10条、並びに、その前の旧々管理規約の35条の2項及び57条において、各区分所有者の負担すべき管理費等の額について、各区分所有者の共用部分に対する共有持ち分割合(総専有床面積に対する各専有部分の床面積の割合)による旨を定めている。そして、建物の区分所有等に関する法律(以下「区分所有法」という。)19条、14条も、同旨を規定している。
以上の管理規約及び区分所有法の定めによれば、原告ら店舗所有者の負担すべき管理費等も、住戸所有者のそれも、同じ㎡単価とされるべきものである。

(2)ところが、原告らが本件マンションにおける各店舗の所有権を取得した時すでに、被告法人が徴収する管理費等は、店舗の㎡単価が住戸の㎡単価の2.45倍となっていた。
もっとも、原告らは、本件マンションにおける各店舗の所有権を取得した際、かかる格差については全く説明を受けていなかった。

(3)前記2のとおり、被告は、平成18年5月14日の総会において、各区分所有者の負担すべき修繕積立金を、平成18年8月分以降、従前の負担額の一律12.5倍に増額する旨決議した(「本件決議」)が、被告は、本件決議に係る議案(第3号議案)においても、かかる格差の存在していることを全く説明しなかった。その結果、原告らは、かかる格差の存在を認識することなく、管理費等の㎡単価は住戸も店舗も当然同等である旨、前提事実を誤認し、その結果、上記議案に積極的に異議を述べることはしなかった。
このため、従前存した㎡単価当たり2.45倍の格差は、修繕積立金について金額ベースで12.5倍に増幅され、店舗所有者の負担として重くのしかかるところとなった。

(4)被告は、上記議案において、長期修繕計画表案を示し、長期修繕費の向こう30年間における累型として6億9795万円が必要である旨趣旨説明をし、このため1戸当たり一律12.5倍の値上げが必要である旨提案したものであるが、本件決議どおりに徴収がなされると、向こう30年間で8億7596万円(第27期(平成21年1月1日~同年12月31日)ないし第29期の各実績額及び第30期の予算額から平均値をとって推計)が積み立てられることになり、上記必要累計額よりも1億7801万円も過剰な徴収となる。店舗が住戸以上に差別的負担を課せられている管理費等の額は、年間合計約465万円であり、30年累計で約1億4000万円にも上るから、前記過剰徴収額の8割以上は店舗所有者から差別的徴収をしたことに起因するものである。すなわち、店舗から差別的徴収しても過剰徴収をもたらすだけなのであり、管理費等について、店舗の㎡単価を住戸のそれの2.45倍とする差別的取り扱いには何ら合理性が無い。
加えて、本件マンションにおける店舗所有者が、住戸所有者より2.45倍の負担力があるとか、本件マンションの共用部分を使用する程度が2.45倍も大きいとも到底いえないところである。

(5)施設の負担する管理費等は、その㎡単価が、長い間、住戸の㎡単価の2分の1に軽減されていたが(本件マンションが分譲業者と施設間にその旨の秘密の契約書が存在していたらしいことが、その後原告らによって判明した。)、この事実は、管理規約上窺い知ることが出来ず、被告もこれを原告らに開示してこなかったため、原告らにおいて知ることは無かった。その後、被告は平成18年5月14日の総会以降、施設に対する上記負担軽減措置を解消し、住戸と同等の㎡単価に変更したが、店舗に対しては、依然、2.45倍の格差を是正せずに現在にいたっている。

(6)なお、被告は、東京電力から請求を受け、原告らに負担させている低圧電灯と低圧動力料金について、平成20年以降、東京電力から請求された金額より高額の負担を原告らに負わせている経緯がある。そこで、原告らは電気料に関して管理費との関係を明らかにするため、被告が保有している資料について文書提出命令申し立てを検討している。

4 結論
以上のとおり、店舗所有者の管理費等の負担を住戸所有者のそれより㎡単価で2.45倍とする定めは、区分所有法19条、14条、30条3項、管理規約27条2項、10条、民法90条(公の秩序)に違反し、無効である。
よって、原告らは、被告に対し、不当利得返還請求権に基づき、請求の趣旨第1項記載のとおり、原告らが各区分所有建物を取得した以降の期間(直近10年分を限度とする。)の管理費等について、住戸所有者と同じ㎡単価で算定されるが気以上に支払った過払い金及びこれに対する原告Iの請求分については訴状送達の日から、その余の原告らの請求分については被告が過払い金の返還請求の調停について答弁書を提出した翌日である平成24年6月20日から支払い済みまで年5分の割合による遅延損害金を支払うよう求める。
なお、原告ごとの過払い金の詳細は別紙管理費等目録記載のとおりである。

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