スポンサードリンク

平成26年(ワ)第24663号不当利得返還請求事件

原告 株式会社H

被告 SDマンション管理組合法人

原告準備書面(3)

平成27年5月22日

東京地方裁判所民事部第50部 御中

原告訴訟代理人弁護士

原告は,被告が原告を含めた店舗に対し,不当に電気料金を東京電力の請求より水増しさせて請求してきた実態を以下のとおり主張する。

 

1 被告の過剰徴収が最大でも月額8000円に過ぎないという被告主張は虚偽であること

被告はこれまで準備書面において,被告の利益は最大でも月額8,000円と強弁するが,これは被告が自ら作成した証拠あるいは自ら提出した証拠と矛盾する。

すなわち被告が平成25年2月9日付で行ったアンケートによれば,被告は東電使用KW単価にさらに1~3円上乗せして徴収したと説明していた(甲4)。この説明に基づき3円を上乗せして計算すると,年平均額は855,844円となる(甲13の中段の表最下行)。

一方,被告が提出した証拠によれば,乙14の1(平成22年4月)からの12か月の請求額は不明共用部・誤検針を修正した本来の店舗専有部の負担額1,693,744円を差し引いた年実額855,615円が被告の店舗に対する過剰徴収額であり、上記アンケート試算の基本料上乗せと3円上乗せの合計855,844円の金額とほぼ同額である。

つまり,被告は、平成16年から同24年まで、年平均413,256円の上乗せと東電使用KW単価に3円上乗せした442,588円の合計855,844円と同等割合の計算で、乙14の1~25の1の12月分の実額855,615円を上乗せして店舗に請求していたのである(甲13中段の表最下段)。

よって、過剰徴収額が月額8,000円(年額96,000円)のみとする被告主張は虚偽である。

2 共用部の電気料金を店舗に転嫁していること

被告が提出した乙13の1~25の1の13カ月分の間に、原告を含む店舗所有者は東電請求金額年平均2,700,462円に対して101.86%の2,728,600円を負担していた(甲14,上の段最下段)。特に被告は乙16の1(平成22年10月)以降は東電業務用電力の100%以上を毎月店舗から徴収しつつ、乙25の1(平成24年3月)までの13カ月連続で共用部の電気料を全く負担していないのが実態である(甲14中程の*1及び*2)。

なお,被告が業務用電力の共用部電気使用量を殆ど負担していない実態は、同平成16年~同24年の9年間の被告決算書の預り金にも表れている。

即ち、被告は,平成16年~24年の9年間で1,845,571円(年平均205,063円を店舗電気料預り金としてではなく、「11月分電気料等」や、「管理費等過入金」、「店舗電気料前受金」などと計上し,名称を偽って管理費会計に組み入れたりしている(甲13最下段。*1~*5)。

また、被告は平成22年10月から平成26年4月まで「共用部中通路の誤検針」として、店舗に対して支出実態の無い架空加算電気料金徴収分を返金する旨通知した(甲7~9)。これは、平成22年3月23日~8月28日の大規模修繕工事期間に工事使用による電気料をすべて店舗に負わせ、工事が終了してからも架空の電気使用量を店舗に水増しして徴収していた実態を物語っている。

なお,乙13の1~25の1の13カ月分の過剰徴収金額は890,519円となる (甲14下段下から1~2行目右端)。

3 結語

以上のとおり、被告は、東電使用KW単価を水増ししたり,共用部使用負担分を店舗に転嫁したりしてきたものと言わざるを得ない。これは端的に詐欺行為と評価せざるをえない行為である。そして被告は、原告が再三にわたり資料の開示を求めているにもかかわらず,未だに一切を明らかにせず,本件提訴後も事務手数料等の主張を行って過剰徴収を改めようともしない。

そして、被告は、住戸役員の現住要件を店舗に拡大適用して、店舗所有者だけでなく、店舗関連ということでも店舗関連者の役員登用を拒絶している。被告の今後の対応次第では原告としては然るべき手段を講じなければならないと考えている。

以 上
スポンサードリンク