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弁護士費用の負担
標準管理規約においては、
第60条第2項
「組合員が前項の期日までに納付すべき金額を納付しない場合には、管理組合は、その未払い金について、年利O%の遅延損害金と、違約金としての弁護士費用並びに督促及び徴収の諸費用を加算して、その組合員に請求することが出来る。」

区分所有法においては弁護士費用についての規定はありません。

判例では
平成7年1月27日、東京地裁において管理費、修繕積立金及び外壁修繕工事についての裁判費用の弁護士費用の負担が被告が負担すべきかどうかで争われた判例があります。
第一審の判決では、
「弁護士費用については、被告が管理費、修繕積立金、補修工事負担金の支払いをしないがために訴訟の提起に至ったものであり、通常生ずべき弁護士費用は、その滞納と因果関係のある損害であり、集会においてこれを被告に負担させる旨の決議が成立した以上、その負担の範囲以内において被告が負担すべきものである」

第二審の判決
「集会の決議事項である共用部分の管理に関しては、管理費の支払いに関する事項も含まれており、その取り立ての提起に必要な弁護士費用も共用部分の管理に関する事項となる。しかし、決議の内容には一定の制限があり、特定の組合員に対して、その意思に反して義務の内負担を課し、あるいは他の組合員に比し不公正な負担を課すような決議は、集会が決議することが出来る範囲を超えるものとして無効である。債務不履行に基づく弁護士費用の相当額の損がお賠償額を負担させる集会の決議はこれにあたり、第一審の判決を取り消し、管理組合の請求を棄却した」

集会の決議にも上記のような限界があります。管理費等について、その管理に関する負担を、規約にあらかじめ、組合員全員につきその責めに帰すべき事由によりその支払いを遅延した場合に、弁護士費用を含めて取り立てに要した費用を当該組合員に負担させる旨の取り決めが必要とされます。

ネット記事参考
管理費等滞納者への延滞金や弁護士費用等の請求

1 質 問
私のマンションでは管理費等を長期に滞納している区分所有者が複数います。これまで回収作業も十分に行われてきませんでしたが、今度の総会を契機に、次年度は本格的に回収をしたいと思います。
① 滞納額に加えて延滞金を請求したいのですが、請求できる額や利率に制限はありますか。② もし訴訟になった場合の弁護士費用や督促に要した費用も請求できるのでしょうか。

2 回 答
1 ①の質問(延滞金の額・利率)について
(1)管理規約に延滞金(遅延損害金)の規定がない場合
延滞金(遅延損害金)の利率について管理規約に規定がない場合でも、民法により年5%の利率で請求できることになっています(民法404条)。これを「法定利率」といいます。

(2) 管理規約に延滞金(遅延損害金)の規定がある場合
管理規約に延滞金(遅延損害金)の規定がある場合は、一種の約定利率の定めとして上記の法定利率に優先して請求できることになります。この点、標準管理規約では、「組合員が前項の期日までに納付すべき金額を納付しない場合には、管理組合は、その未払金額について、年利○%の遅延損害金を・・・加算して、その組合員に対して請求することができる。」としています(第60条第2項)。したがって、質問者のマンションの管理規約に遅延損害金の定めがあれば、その分を加算して滞納者に請求することは可能です。
ただし、遅延損害金の利率があまりに高額な場合は、裁判で争われた場合には無効とされるおそれがありますので、注意してください。この点、管理規約の利率の定めが利息制限法や出資法の規制を受けるのかという問題があります。例えば、利息制限法では、10万円未満は20%、10万円~100万円未満は18%、100万円以上は15%が、消費者契約法では14.6%が、それぞれ上限金利とされています(なお、国税滞納の場合も14.6%)。確かに、マンションの管理費等にかかる遅延損害金は金銭消費貸借における利息ではないので、利息制限法や消費者契約法がそのまま適用されるわけではありません。しかし、これらの法の趣旨を考えると、高額な利率の設定はやはり避けるべきでしょう。
2 ②の質問(督促費用・弁護士費用)について
民事訴訟では、敗訴者負担の原則というものがあり、訴訟に要した費用は訴訟に敗れた側が負担するのが原則となっています(民事訴訟法第61条。なお、民事訴訟費用等に関する法律及び民事訴訟費用等に関する規則参照)。ただし、ここにいう「訴訟費用」とは、当該訴訟の追行及び審判のために直接必要なものとして当事者及び裁判所が支出した費用をいい、督促費用や弁護士費用が当然に請求できるわけではありません。したがって、これらを請求できるとするためには、予め管理規約で「督促費用及び弁護士費用も請求できる」との定めをしておく必要があります。この点、標準管理規約第60条第2項では、前述の遅延損害金の定めに続いて、「違約金としての弁護士費用並びに督促及び徴収の諸費用を加算して、その組合員に対して請求することができる。」としています。規約が整備されていないマンションでは、この規定を参考にして規約を整備することをお勧めします。

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