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平成26年(ワ)第24663号 不当利得返還請求事件
原告 株式会社H
被告 SDマンション管理組合法人
第5準備書面
平成27年10月28日
東京地方裁判所民事第50部 御中
原告訴訟代理人 弁護士
1 原告は,第4準備書面において,被告が電気使用量の検針台帳に虚偽記載を行っている一方,平成16年までは決算書に計上されていた店舗から過剰に徴収した電気料金が,その後不明になった経緯,決算書上400万円に上る不明金(平成16年度,第22期)が判明したにもかかわらず,被告がその理由説明を拒んでいる経緯等を主張した。
そこで,原告は,さらに複数年度における決算書を精査し,本書面において,被告が管理規約に違反して,決算書上,過剰徴収した管理費を剰余金として修繕積立金に振り替えている経緯を説明する。
被告は,平成23年11月の臨時総会において,本件マンションの管理規約の全面改正を行い,従来,管理費に余剰が生じたときは翌年度における管理費に充当することができると定められていた規定を,修繕積立金としても積み立てることができる旨加筆した新規定を決議させた。被告がかかる議案を上程したのは,原告ら店舗区分所有者から過剰な管理費及び電気料金を収受していた過去を,秘密裏のうちに精算しようと企図したものではないかと思料される。
しかしながら,この決議は,およそ原告をはじめとした店舗区分所有者が,住戸区分所有者と比較して2.45倍も高額の管理費を負担させられていることや,被告決算書上,店舗から過剰に徴収された電気料が預かり金として計上されていた経緯について,一切告知なく行われたものであり,無効である(原告は,2.45倍の格差が無効であることの確認を求め,別訴で争っている。御庁平成25年(ワ)第39号)。
2 平成16年度22期決算書の記載
被告は,21期における管理費の次期繰越金が7694.1万円もあったにもかかわらず,22期における管理費の前期繰越金を546.3万円,管理費の当期剰余金を-766.6万円,次期繰越金を-220.3万円の赤字とした。その上で,本来管理費会計に引き継がれるはずの7694.1万円のうち,修繕積立金会計に1000万円を振り替え,なおかつ5849.8万円を修繕積立金会計の次期繰越金とした。
しかしながら当時の管理規約には,上記振り替えに関する根拠規定は存在しない。したがって,かかる被告の振り替えは,管理規約違反である。
2 平成17年23期決算書の記載
被告は,22期決算書において修繕積立金会計の次期繰越金とした5849.8万円を,今度は管理費会計に戻して前期繰越金6024.2万円とし,そのうち500万円を修繕積立金会計に振り替えた。
しかしながら当時の管理規約には,上記振り替えに関する根拠規定は存在しない。したがって,かかる被告の振り替えは,管理規約違反である。
3 平成18年度24期決算書の記載
被告は,管理費会計において5817.5万円の前期繰越金があったにもかかわらず,5000万円を修繕積立金会計に振り替えた。
しかしながら当時の管理規約には,上記振り替えに関する根拠規定は存在しない。したがって,かかる被告の振り替えは,管理規約違反である。
4 平成21年度27期決算書の記載
被告は,26期の管理費会計の剰余金約1605万円に対し,27期管理費会計前期繰越金を605万円と記載した。差額の1000万円は,修繕積立金に振り替えられた。
平成21年3月7日付剰余金処分案には,「ⅰ剰余金合計16,049,596」,「ⅱ剰余金処分額 修繕積立金会計10,000,000」,「ⅲ次期繰越金6,049,596」,「以上の通りご報告いたします。」と記載されている。しかしながら,かかる振り替えについて根拠となる管理規約は存在しなかった。したがって,かかる被告の振り替えは,管理規約違反である。
5 平成22年度28期決算書の記載
被告は,27期管理費会計の剰余金が956.7万円あったにもかかわらず,28期では前期繰越金456.7万円と記載した。差額500万円は27期剰余金処分案において修繕積立金会計に振り替えられたが,前記のとおり,これについても管理規約上の根拠はなく,管理規約違反である。
6 平成23年度29期決算書の記載
被告は,28期管理費会計では次期繰越金が852.9万円あったにもかかわらず,29期では前期繰越金352.9万円と記載した。差額500万円は28期剰余金処分案において修繕積立金会計に振り替えられたが,前記のとおり,これについても管理規約上の根拠はなく,管理規約違反である。
7 平成25年度31期決算書の記載
被告は,30期管理費会計の次期繰越金878.2万円を,31期では前期繰越金587.2万円と記載した。差額300万円は30期の剰余金処分案において修繕積立金会計振り替えられた。
8 平成26年度32期決算書の記載
被告は,31期次期繰越712.7万円を,32期では前期繰越金512.7万円と記載した。差額200万円は32期剰余金処分案において修繕積立金会計に振り替えられた。
9 原告としては,第4準備書面において指摘した不明金や,本書面において指摘した剰余金は,被告が店舗から過剰徴収した管理費や電気料金にほかならないと理解している。被告においてそうでないと主張するならば,第4準備書面で指摘した異常な検針数値や,不明金400万円が発生した原因,また,なぜ毎期のように剰余金が発生するのか,説明されたい。
10なお,平成27年10月13日,被告は,原告の使用電気量の検針立ち会いを,警察官を臨場させてまで禁止した。本件裁判において,撮影した検針台帳を原告が証拠提出したことが理由である。
しかしながら,かかる行為は,被告が,原告に対し,過去の電気料金の徴収台帳や,検針台帳を開示してこなかった経緯を踏まえると,杜撰な電気料金徴収の実態を隠蔽しようとするものと理解するほかない。
原告は,被告に対し,従前通り原告の検針立ち会いを認められたい。
以 上
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