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1999年9月20日大阪高裁判決
阪神の震災で倒壊した建物による被害者が建物の所有者を訴えた事件。被災建物が裁判前に取り壊されていましたが写真判定により瑕疵を認定し、建物の所有者に被害者に賠償を命じました。

概要
原告・・X
被告・・Y
場所・・神戸市中央区
Xの建物は本館と南館の2棟からなり、本館の南側に隣接してYの建物が建っていました。
Yの建物・・鉄筋コンクリート造地上3階建て、1961年竣工、1969年確認申請して4階部分を鉄骨造で増築しました。
この4階部分が震災で崩壊し、Xの本館と南館の外壁を損傷させました。
XはYの増築部分が瑕疵による原因で倒壊したとして、Yに対し民法の工作物責任に基づき建物の補修費等で2200万円の損害賠償請求の訴えを神戸地裁に起こしました。この一審で神戸地裁はXの訴えを認めました。
これに対して、Yは大阪高裁に控訴いたしました。

大阪高裁判決
大阪高裁においても、一審と同じくYの建物の増築部分は瑕疵と認定されました。
この裁判において特筆すべきところは、裁判が始まる直前までに建物が取り壊され撤去されてしまっていました。
XもYも建物の専門家による現物の鑑定は行っていませんでしたが、Xが被災直後から解体撤去されるまで崩落した4階部分の写真を撮り続けていましが、その写真が物的証拠とされました。

写真の内容
Yの建物の増築した施行者は4階のアンカーボルトの終端部を3階のパラペットに差し込んだだけで、パラペット内の鉄筋に溶接していない。しかも、アンカーボルトの先端部は4階鉄骨柱脚のベースプレートにスポット溶接しただけで、ナットも締めてはいませんでした。つまり、「4階部分を3階部分においただけと言っても過言ではない」
以上のことから、証拠となった写真に写っているこの瑕疵の痕跡は控訴審においても決定的な証拠となりました。

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