スポンサードリンク

平成25年(ワ)第39号

原告 店舗組合員 14名

被告 SDマンション管理組合法人

 

訴えの追加的変更申立書

平成25年3月8日

東京地方裁判所民事第32部 御中

 

原告らは,頭書事件について,下記のとおり訴えの追加的変更を申し立てる。

 

            原告ら訴訟代理人 弁護士

 

 

第1 訴えの追加的変更の趣旨(追加する請求の趣旨)

1  被告は,原告らに対し,別紙管理規約目録記載1の規約を同2の規約に変更する旨の被告平成23年11月6日付け総会決議が無効であることを確認する。

2  被告は,原告らに対し,原告らが被告に対し別紙管理費等目録記載の新規修繕積立金を負担する旨の被告平成20年3月30日付け総会決議が不存在であることを確認する。

3  被告は,原告らに対し,原告らが被告に対し別紙管理費等目録記載の新規修繕積立金を負担する旨の被告平成18年5月14日付け総会決議が不存在であることを確認する。

との判決を追加的に求める。

 

第2  訴えの追加的変更の理由(訴状請求の原因の訂正)

訴えの追加的変更の理由及び訴状請求の原因2項,3項(3)及び4項第1段落についての補充を次のとおり行う。

1  はじめに

(1)  共用部分の負担について

建物の区分所有等に関する法律(以下「建物区分所有法」という。)19条は,「各共有者は,規約に別段の定めがない限りその持分に応じて,共用部分の負担に任じ,共用部分から生ずる利益を収取する。」と規定し,同法14条1項は,「各共有者の持分は,その有する専有部分の床面積の割合による。」と規定する。区分所有建物にあっては各区分所有者の利害は一致せず,利益状況も多様であるが,共用部分につき各区分所有者の利益の程度を管理費の額に反映させることは不可能であり,また,相当であるともいえず,共用部分に各区分所有者の利害得失をある程度捨象し,一律に各区分所有者の専有部分および専用使用部分の面積に応じて管理費を負担することが合理的方法である(東京地判平成5年3月30日判例時報1461号72頁,東京高判平成5年2月26日金融・商事判例936号19頁)。

(2)  規約による別段の定めについて

規約により共有持分割合と異なる方法での負担額及び利益配分を定めることも可能であるが,専有部分の床面積割合によるという原則と著しく相違する比率での費用負担の定めは違法無効の問題を生じさせる。管理費等につき差異を設けた規約及びこれに基づく総会決議について,目的またはその差別の方法が不合理であって,一部の者に特に不利益な結果をもたらすときは,公序良俗に違反し,無効であるとした裁判例がある(東京地判平成2年7月24日判例時報1382号83頁)。

(3)  規約の設定,変更及び廃止の手続について

建物区分所有法31条1項は,「規約の設定,変更又は廃止は,区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議によってする。」と規定する。

また,同法35条5項は,「(集会の招集の)通知をする場合において,会議の目的たる事項が(中略)第31条第1項(中略)に規定する決議事項であるときは,その議案の要領をも通知しなければならない。」と規定する。総会招集通知に同項所定の議案の要領が必要であるのにこれをしなかったときは,その招集通知に基づく総会決議は,招集手続に重大な瑕疵があり,無効である(東京高判平成7年12月18日判例タイムズ929号199頁)。

(4)  被告の運営状況について

以上にもかかわらず,被告は,「規約に別段の定めがない」のに,共有持分によるよりも過大な管理費及び修繕積立金(以下「管理費等」という。)を徴収するという違法無効の運営を長年月にわたり行ってきた。原告らは,被告の情報隠蔽体質にも起因して,共有持分に応じた負担をしているものと誤信して,被告による管理費等の請求に応じ,これを支払ってきた。

その後,被告は,平成18年に至り,長期修繕計画の策定に伴う修繕積立金の増額を推し進めるに当たり,修繕積立金の一律増額の審議の中に,上述した管理費等の差別的負担の問題を紛れ込ませて,規約化・固定化を図ろうと企てたが,その手続は,招集手続及び議決要件のいずれの点においても,建物区分所有法の規定に違反するものであって,規約変更として不存在といわざるをえないものであった。更に,被告は,平成23年にも,この管理費等の差別的負担を,一般的な規約変更の審議の中に紛れ込ませて,規約化・固定化を図ろうと企てたが,やはり建物区分所有法の手続に違反しかつ公序良俗に違反するものであって,規約変更として無効といわざるをえないものであった。

被告において,かかる違法無効な運営が長らく維持され,また,かかる違法無効な運営がこれまた違法無効な手続によって規約化・固定化されようとしたことの背景事情として,次の点を指摘することができる。すなわち,被告においては,一部の者が長期間にわたり役員を占めてきた。これらの役員は,住戸の区分所有者から大量の委任状を取り付け,あるいは区分所有者に対し適切な情報開示をしないなどの政治的手法を駆使して,恣に被告の運営をしてきた。そして,管理会社であるNH株式会社は,その利権を保持するため被告と癒着し,その違法無効の運営を下支えしてきたのである。かかる構造により維持されてきたいわば長期政権は,電気料に関する簿外処理の問題(別途主張する。)など,腐敗が相当に進行している。

SDマンション(以下「本件マンション」という。)は,住戸が124戸,店舗が19戸,大田区立児童館が1戸であり,店舗の区分所有者である原告らは,員数及び議決権数の面において少数派であるうえに,上述した背景事情が存するため,被告の民主的な自浄作用は殆ど期待しえない状況となっている。本件訴訟による司法的救済が必要とされるゆえんである。

以下事実関係につき詳述する。

2  住戸・店舗間格差に関する平成18年規約変更の不存在

(1)  平成18年5月14日変更前管理規約について

被告の規約には,元来,管理費等の負担につき,建物区分所有法19条,14条1項に基づく負担割合を変更する「別段の定め」はなく,むしろ平成18年5月14日変更前管理規約(甲2)は,「区分所有者,敷地及び共用部分の管理に要する経費にあてるため,次の費用(以下「管理費等」という)を管理組合に納入しなければならない。」(35条1項),「前項の金額については,各区分所有者の共有持分に応じて算出する。」(同条2項),「各区分所有者の共有持分は,その所有する専有部分の割合による」(57条1項)と規定する等,建物区分所有法の規定と同じ負担割合とする意思を明らかにしてきた。

(2)  総会招集通知の内容について

被告は,平成18年4月28日付けで,原告らに対し,第23回定期総会を同年5月14日に開催する旨の招集通知をした(甲3)。この通知には議案書(甲4)が添付され,その第3号議案として,修繕積立金を12.5倍に改定する旨,駐車場使用料を10倍(月額2万円)に改定する旨の提案が記載され,その別紙として,D株式会社作成に係る平成17年5月10日付け「長期修繕計画表(案)」(甲5)が添付されていた。また,第6号議案として,管理規約を変更する旨の提案が記載され,その別紙として,変更箇所に下線を付した管理規約(案)(甲6)が添付されていた。

上記添付に係る管理規約案は,管理費等の負担に関する変更の提案としては,各区分所有者が共用部分の共有持分に応じて算出・納入する「管理費等」の中に「電気料金」が含まれる旨の規定に変更することを提案するにとどまるものであり,管理費等につき,建物区分所有法19条の原則に対する「別段の定め」を設け,原告らに対しこの原則とは異なる負担をさせる旨の提案は含まれていなかった。

(3)  総会の開催状況について

被告は,平成18年5月14日,第23回定期総会を開催し,区分所有者137名,議決権にして144個のうち,区分所有者111名(うち委任状84名),議決権にして116個が出席した(甲7)。建物区分所有法39条1項は,「集会の議事は,この法律及び規約に別段の定めがない限り,区分所有者及び議決権の各過半数で決する。」と規定するところ,被告の平成18年5月14日変更前管理規約(甲2)は,「総会の議事は,出席組合員の議決権の過半数で決し,賛否同数の場合においては,議長の決するところによる。」(23条2項)と規定し,普通決議事項について,その議決要件を軽減していたから,この定期総会においては,普通決議事項は,出席議決権116個の過半数である59個以上の賛成で可決することができたが,管理規約の変更など特別決議事項については,区分所有者103名以上及び議決権108個以上の賛成がなければ可決することができなかった(建物区分所有法31条1項)。

この定期総会において,上記第3号議案中,修繕積立金を平成18年8月分(同年7月28日引落分)より12.5倍に改定するとの部分は,普通決議事項の議決要件を充たしたとして可決とされたが,駐車場使用料を10倍(月額2万円)に改定するとの部分は,採決されず,将来の臨時総会における審議に委ねられた。上記第6号議案については,総会議事録の記載によれば,出席した区分所有者111名(うち委任状84名),議決権にして116個の全員が賛成し,特別決議事項の議決要件(区分所有者103名以上及び議決権108個以上の賛成)を充たしたとして,可決とされた(甲7)。

なお,この駐車場使用料の改定については,平成18年7月30日開催の臨時総会において再度,第1号議案として上程がなされた。この臨時総会は,区分所有者137名,議決権にして144個のところ,区分所有者114名(うち委任状78名),議決権にして120個の出席があり,第1号議案は,普通決議事項の議決要件を充たしたとして可決とされたが,同議案に反対する出席者十数名が途中退席したため,第2号議案として上程されていた管理規約の変更については,特別決議事項の議決要件を充たさず否決された(甲8)。

(4)  被告の主張が失当であること(確認の利益)

被告は,上記総会当時,「修繕積立金改定表」(甲9)が配布されたことを理由に,あたかも,上記第23回定期総会において,建物区分所有法19条の原則に対する「別段の定め」が承認可決され,原告らが被告に対し,「修繕積立金改定表」記載の金額の管理費等の負担を負うに至ったかの如く強弁するようである。確かに,この「修繕積立金改定表」に記載された修繕積立金の額は,専有部分の床面積当たりの単価で比較すると,店舗に住戸の2.45倍の負担を強いるものであった。

しかしながら,上記第3号議案の要領は,あくまで修繕積立金を一律12.5倍に増額するとの内容にとどまるものであり,規約変更により建物区分所有法19条の原則に対する「別段の定め」を設けようとするものではなかった。また,上記「修繕積立金改定表」は,各戸の修繕積立金の額の記載はあるものの,住戸・店舗の別,各区分所有者の共有持分,各専有部分の床面積,修繕積立金の床面積当たりないし共有持分当たりの単価のいずれについても,その記載を欠くものであり,そもそも修繕積立金の単価に住戸・店舗間で2.45倍もの格差があることを認識することができないものであって,かかる格差を規約化しようという規約変更の趣旨を窺うことはおよそできないものであった。更に,総会当日の議事においても,修繕積立金を一律12.5倍に改定するとの議案が普通決議事項として可決されただけである(甲7)。この総会においては,建物区分所有法19条の原則に対する「特段の定め」を管理規約に設けるか否か,原告らが被告に対し「修繕積立金改定表」記載の金額の負担を負うか否かは,いずれも決議事項とはされていない。実際,これらの事項が,特別決議事項として,区分所有者103名以上及び議決権108個以上の賛成により承認可決された事実はないのである。

よって,被告の上記主張は失当である。

3  住戸・店舗間格差に関する平成20年規約変更の不存在

(1)  総会招集通知の内容について

被告は,平成20年3月15日付けで,原告らに対し,第25期定期総会を同月30日に開催する旨の招集通知をした(甲10)。この通知には,第4号議案(1)として,「第23期定期総会の修繕積立金についての決議の信任について」との記載がなされ,添付の「上程議案説明書」(甲11)には,上記総会決議について,組合員から平成20年2月1日に決議無効確認請求訴訟を提起された旨,被告理事会としては,裁判の早期解決のため再度改めて確認の意味で,上記決議が有効であったことの信任を決議したい旨が記載されていた。

(2)  被告は,平成20年3月30日,第25期定期総会を開催した。区分所有者137名,議決権にして144個のところ,区分所有者126名(うち委任状48名,議決権行使書面43名),議決権にして133個(うち委任状53個,議決権行使書面44個)の出席があった。

そして,その第4号議案として,修繕積立金を平成18年8月分(同年7月28日引落分)より12.5倍に改定するとの第23回定期総会決議を信任する旨の議案が提案され,出席議決権133個の過半数である95個(うち委任状38個,議決権行使書面41個)の賛成により,普通決議事項の議決要件を充たしてとして可決とされたが,特別決議事項の議決要件(区分所有者103名以上及び議決権108個以上の賛成)は充たされなかった(甲12)。

(3)  被告の主張が失当であること(確認の利益)

被告は,平成20年3月30日開催の第25回定時総会において,修繕積立金を一律12.5倍に改定するとの平成18年5月14日付け定時総会決議を信任する旨が決議されたことを理由に,建物区分所有法19条の原則に対する「別段の定め」が承認可決され,原告らが被告に対し,「修繕積立金改定表」記載の金額の管理費等の負担を負うに至ったかの如く強弁するようである。

しかしながら,前記2(4)記載のとおり,平成18年5月14日付け定時総会決議自体,規約変更により建物区分所有法19条の原則に対する「別段の定め」を設けるものではなく,実際,特別決議事項の議決要件を充たすものでもなかったうえに,同決議を信任するという平成20年3月30日付け決議も,上記のとおり,特別決議事項の議決要件を充たすものではなかったから,規約変更の決議と解する余地はない。

よって,被告の上記主張は失当である。

4  住戸・店舗間格差に関する平成23年規約変更の無効

(1)  総会招集通知の内容について

被告は,平成23年10月24日付けで,原告らに対し,臨時総会を同年11月6日に開催する旨の招集通知をした(甲13)。この通知には,第1号議案として,「管理規約全面改正案承認の件(特別決議)」との記載がなされ,また,添付資料として,「臨時総会上程議案説明書」(甲14)が添付された。この議案説明書には,第1号議案の提案の趣旨として,現行管理規約が,平成18年5月14日に改正されたものであること,その後,駐車場4区画が被告において使用可能となり,現行管理規約が現状にそぐわなくなったこと,国交省のマンション標準管理規約が平成23年7月に見直され,これに沿った内容としたいことなどが記載されていたが,建物区分所有法19条の例外に対する「特段の定め」を設け,管理費等について,店舗所有者に共有持分ないし専有部分の床面積当たりの単価において住戸所有者の2.45倍の負担を負わせるか否かの点については何ら言及がなかった。

上記招集通知には,「SDマンション管理規約改正(案)新旧規約比較対照表」(甲15)が添付されていた。この比較対照表においては,現行規約(改正前)として,「管理費等の額については,各区分所有者の共用部分の共有持分に応じて算出するものとする。」との規定(25条2項),及び,改正案(改正後)として,「管理費等の額については,各区分所有者の共用部分の共有持分に応じて算出した別表第4の金額とする。」との規定(27条2項)が併記され,変更箇所に下線が付されていたが,「別表第4」は付されていなかった。

上記招集通知は,店舗を直接使用していない原告らに対しては,郵送でなされ,これには,「管理組合法人規約集」(甲17)が同封されていたようであるが,これと議案との関係が,「臨時総会開催のお知らせ」(甲13)上も,「臨時総会上程議案説明書」(甲14)上も示されておらず,原告らは,既存・現行の規約集と理解した。

(2)  総会の開催状況について

ア 被告は,平成23年11月6日,臨時総会を開催し,区分所有者137名,議決権にして144個のうち,区分所有者121名(うち委任状70名,議決権行使書面34名),議決権にして128個(うち委任状71個,議決権行使書面39個)が出席した(甲16)。したがって,普通決議事項の議決要件は,出席議決権128個の過半数である65個以上の賛成を要し,また,管理規約変更などの特別決議事項については,区分所有者103名以上及び議決権108個以上の賛成を要した(建物区分所有法31条1項)。

イ 原告らのうち,原告A,原告D,原告有限会社E,原告G,原告H,原告L及び原告株式会社Mは,この総会に出席しなかった。原告らのうち、この総会に出席したのは、原告㈱B及び原告Fであった。

ウ この総会において,T副理事長が,「SDマンション管理規約改正(案)新旧規約比較対照表」(甲15)を適宜読み上げたが,前記のとおり,この比較対照表には「別表第4」は付されていなかったので,当然,読み上げの対象とならなかった。また,この総会において,T理事長ないしその他の理事から,規約変更の趣旨として,建物区分所有法19条の原則に対する「特段の定め」を設け,管理費等について,店舗所有者に共有持分ないし専有部分の床面積当たりの単価において住戸所有者の2.45倍の負担を負わせることになるとの説明がなされることもなかった。

エ 原告Bは,この総会のまさにその場で,「管理組合法人規約集」(甲17)が,既存・現行の規約集ではなく,まさにこの総会の第1号議案として提案されている管理規約の改正案であること,その25頁以下に,「別表第4-1」として「店舗別及び児童館専有面積,管理費等一覧表」及び「住戸タイプ別専有面積,管理費等一覧表」が,「別表第4-2」として「タイプ別住戸番号一覧表」が添付されており,各戸毎の専有面積が記載されていることに気付いたが,その内容を精査し,建物区分所有法19条の原則からの乖離状況について確知し,質疑事項として取りまとめ,賛否を再考し,そして意見を述べる余裕はなかった。

オ 結局,上記第1号議案は,区分所有者118名(うち委任状70名,議決権行使書面32名)及び議決権125個(うち委任状71個,議決権行使書面37個)の賛成により,特別決議事項の議決要件を充たしたとして,可決とされた(甲16)。

カ 原告Bは,平成23年11月22日付けで,被告に対し,管理費及び修繕積立金について,店舗が住戸と児童館に対して244パーセントの負担となっていることに初めて気づいた旨,店舗だけが住戸の約2.5倍も負担しなければならない理由がまったく分からない旨,このような受忍限度をはるかに超える不平等が存在することはあってはならないことである旨を指摘し,抗議した。

(3)  被告の主張が失当であること(確認の利益)

上記「別表第4-1」に記載された修繕積立金の額は,原告らが臨時総会終了後に精査したところ,専有部分の床面積当たりの単価で比較すると,店舗に住戸の2.45倍の負担を強いるものであった。

そして,被告は,この「別表第4-1」を理由に,あたかも,上記第23回定期総会において,建物区分所有法19条の原則に対する「別段の定め」が承認可決され,原告らが被告に対し,「修繕積立金改定表」記載の金額の管理費等の負担を負うに至ったかの如く強弁するようである。

しかしながら,第1に,「臨時総会開催のお知らせ」(甲13),「上程議案説明書」(甲14)ないし「新旧規約比較対照表」(甲15)からは,建物区分所有法19条の原則に対する「別段の定め」をすることによって,店舗所有者に共有持分ないし専有部分の床面積当たりの単価において住戸所有者の2.45倍の負担を負わせるとの趣旨を読み取ることはできず,「議案の要領」(建物区分所有法35条5項)を通知したことにならない。このような招集通知に基づき,管理費等の額を,「共有持分に応じて算出するものとする。」から,「共有持分に応じて算出した別表第4の金額とする。」へと変更する旨の規約変更の総会決議は,招集手続に重大な瑕疵があり,無効である(東京高判平成7年12月18日判例タイムズ929号199頁参照)。

第2に,かかる管理規約の変更の決議は,原告ら店舗所有者の権利に「特別の影響を及ぼすべきとき」(建物区分所有法31条1項)に該当するから,その承諾を得なければならないところ,原告らの出欠状況及び出席した原告の対応状況は,上記(2)記載のとおりであり,当該規約変更が,建物区分所有法19条の原則に対する「特段の定め」を設け,管理費等について,店舗所有者に共有持分ないし専有部分の床面積当たりの単価において住戸所有者の2.45倍の負担を負わせるものであると認識した上で,これに承諾したということはできない。よって,かかる管理規約の変更の決議は,建物区分所有法31条1項に違反し,無効である。

第3に,かかる管理規約の変更は,原告ら店舗所有者に専有部分の床面積当たり単価で住戸所有者の2.45倍もの管理費等の負担を強いるものであり,公序良俗に違反し,無効である。

第4に,変更後の管理規約27条2項前段は,管理費等の額について,建物区分所有法19条の原則どおり,「各区分所有者の共用部分の共有持分に応じて」と規定し,また,同規約67条は,残余財産の帰属について,同法56条の原則どおり,「管理組合が解散する場合,その「残余財産については,第10条に定める各区分所有者の共用部分の共有持分割合に応じて各区分所有者に帰属するものとする。」と定めていながら,他方で,同規約27条2項後段及び「別表4」は,原告ら店舗所有者に上記のとおり共有持分割合のはるかに超える格差負担を強いるものとなっている。かかる規約変更は,建物区分所有法19条及び56条の原則に対する「特段の定め」をするのか否かの観点からは,自己矛盾以外の何物でもなく,法律行為として特定性を欠くがゆえに無効である。

よって,被告の上記主張は失当である。

5  結語

以上の次第であるから,被告の管理規約を変更し,原告ら店舗所有者に専有部分の床面積当たり単価で住戸所有者の2.45倍の負担を負わせる旨の平成20年3月30日付け及び平成18年5月14日付け総会決議は不存在であり,同様の平成23年11月6日付け総会決議は無効であるから,その旨の確認を求めるとともに,被告が建物区分所有法19条に反して原告らから徴収した管理費等について,訴状請求の趣旨記載のとおり,不当利得としてその返還を求めるものである。

以 上

スポンサードリンク