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平成25年(ワ)第39号 不当利得返還請求事件
原告 店舗組合員14名
被告 SDマンション管理組合法人

被告準備書面(1)

平成25年5月31日

東京地方裁判所民事第32部3A係 御中

被告訴訟代理人 弁護士

第1 訴えの追加的変更の趣旨に対する答弁
1 原告らの請求を棄却する
2 訴訟費用は原告らの負担とする
との判決を求める。

第2 訴状請求の原因に対する認否及び反論
1 「1 当事者」について
否認する。
原告㈱H、同C、同J、同K、同Iは、従前は本件マンションの区分所有者であったが、現在は区分所有者ではない。

2 「2 管理費の増額」について
原告らが各自負担すべき管理費等が訴状別紙管理費等目録記載のとおりとなったとの点は否認し、その余は認める。
平成18年5月14日の定期総会により決定した原告らが平成18年8月分以降に負担する修繕積立金は、同総会議案書の別紙SDマンション管理組合法人駐車場使用料及び修繕積立金改定一覧表記載のとおりである(甲9)。なお、この一覧表(甲9)は、同総会議案書(甲4)に別紙として添付され、招集通知(甲3)とともに各区分所有者に事前に配布されたものである。

3 「3 格差の存在及びその無効」について
否認ないし争う。
後述第4で述べる通り、本件マンションの管理費等は有効な者である。

第3 訴えの追加的変更の理由(訴えの追加的変更申立書2頁以下)に対する認否及び反論

1 「1 はじめに」について
原告らが主張する法律の規定が存在することは認め、その余は否認する。

2 「2 住戸・店舗間格差に関する平成18年規約変更の不存在」について
(1)「(1)」について
平成18年に変更される前の被告の管理規約において、原告らが主張する内容の規定が存在していたことは認め、その余は否認する。

(2)「(2)」及び「(3)」について
事実関係が不正確であり、否認する。
平成18年5月14日開催の定期総会決議についての招集通知に添付されていた管理規約は甲6ではなく、乙1である。
平成18年5月14日開催の定期総会決議において管理規約(乙1)が承認された後、その管理規約(乙1)を微修正した管理規約(甲6)が平成18年7月30日開催の臨時総会決議において否決されたものである。
また、この招集通知には、原告らが主張するもののほか、「大規模修繕工事に向けて」と題する説明資料(乙2)も添付されていた。

(3)「(4)」について
否認する。
後述4で述べる通り、店舗と住戸の管理費については、分譲時において分譲業者と各区分所有者との間で合意したものであり、総会決議によって新たに定めたものではない。

3 「3 住戸・店舗間格差に関する平成20年規約変更の不存在」について
(1)「(1)」及び「(2)」について
概認める。
後述第4で述べる通り、店舗と住戸の管理費については、分譲時において分譲業者と区分所有者との間で合意したものであり、総会決議によって新たに定めたものではない。

4 「4 住戸・店舗間格差に関する平成23年規約変更の無効」について
(1)「(1)」について
第1段は、概認める。
第2段は、否認する。
平成23年11月6日開催の臨時総会決議についての招集通知には「管理組合法人規約集」(甲17)が添付されており、その中に「別表第4」も付されていた(甲17の25頁以下)。
第3段は、否認する。
被告は、各区分所有者に対して、招集通知とともに、それまでの管理規約(乙1)と比べて、表紙、目次、文字の大きさ、頁数、細則の数と種類等が明らかに全く異なるものであり、一見してこれまでの規約と異なるものであることが明らかなものである。
したがって、かかる書類一式を受領した区分所有者において、招集通知と一緒に送付された「管理組合法人規約集」(甲17)を既存・現行の規約集と理解するということはあり得ない。

(2)「(2)」及び「(3)」について
(2)ア及び同イは認め、その余は否認する。
後述第4で述べる通り、店舗と住戸の管理費については、分譲時において分譲業者と各区分所有者との間で合意したものであり、総会決議によって新たに定めたものではない。

第4 被告の主張

1 はじめに
本件においては、以下の事情に照らしても、管理費の定めは有効であり、原告らの主張が何ら根拠が無く、かつ突拍子もない主張であり、また過去の裁判等で確定されたことに反することを理由も無く蒸し返して主張するものであり、原告らの主張に理由が無いことは明らかである。
①分譲当初から住居と店舗とで異なる金額が定められていたところ、重要事項説明や管理委託契約書にその金額が明記されており、本件マンションの各部屋の購入者は、自らが負担すべき管理費等の金額について認識し、合意したうえで区分所有者となっていること、
②修繕積立の改定は平成18年5月14日開催の本件マンションの総会によって有効に決議されていること、
③上記総会決議及びその後の総会決議について、原告らにおいて賛成表明がなされていること、
④上記総会決議及びその後の総会決議が有効であることを確認する旨等の裁判上の和解が成立しておりすでに解決されたものであること、
以下、詳述する。

2 当初の管理費等の金額の定めは合意された有効なものであること

(1)重要事項説明書別添価格表(乙4)に管理費等の金額が明記されていたこと
本件マンションの管理費の金額は、昭和56年の分譲時において、住居については専有面積1㎡あたり月額158円、店舗については1㎡あたり月額385円と設定されていたところ、昭和56年の分譲開始当初より、本件マンションの購入希望者には、重要事項説明書及びこれに添付された管理費等の価格表が示されていた(乙3及び乙4)。
重要事項説明書には「本物件竣工時点のタイプ別管理費及び補修積立金の額については、別添価格表を後参照願います。」との記載があり(乙3の39枚目の右側「販売に関する重要事項」15(2))、別添価格表には、各タイプの専有面積、住戸及び店舗の管理費及び補修積立金の金額が明記された一覧表が掲載されていた(乙4の4枚目)。なお、戸の一覧表には、店舗と住戸のそれぞれについて専有面積とそれに対応した管理費等の金額が示されているため、この一覧表を見れば、店舗と住戸とで管理費等の金額に差異があることも容易に確認できるものであった。
本件マンションの各区分所有者は、購入当時にこれらの書類を確認し、別添価格表に記載された管理費等の金額について合意したうえで区分所有者となったものである。

(2)管理委託契約書(乙5)にも管理費等の金額が明記されていたこと
本件マンションの管理委託開始当時において区分所有者と管理業務受託者との間で締結された管理委託契約書においても、各タイプに応じた住戸と店舗の管理費及び補修積立金の金額が明記されており(乙5の第4条及び第5条)、各区分所有者は自己が負担する管理費等の金額について合意したうえで管理委託契約を締結しているものである。

(3)分譲時の管理規約においても、店舗と住戸のタイプの違いに応じて管理費等に差異がある旨規定されていたこと
また、分譲時の管理規約においても、「タイプ別管理費」「を負担する」として住居や店舗といったタイプの違いや間取りの違いに応じて各区分所有者が管理費を負担することとされていた(乙6の第13条1項)。また、修繕積立金の金額は、管理費の金額の10分の1と設定されていた(乙6の第14条1項)。
本件マンションの各部屋の購入者は、このような差異を含め、自ら負担すべき管理費等の金額について分譲業者から説明を受け本件マンションを購入しているものである。

(4)分譲から20年以上の間、住戸と店舗の管理費等の差異について何ら異議が述べられたことが無かったこと
上記(1)のとおり、本件マンションの管理費の金額は、昭和56年の分譲開始時において、住居については専有面積1㎡あたり月額158円、店舗については専有面積1㎡あたり月額385円と設定されていたが、原告らを含む各区分所有者から20年以上の間、当該差異について、被告に異議等が述べられたことはなかった。
本件マンションでは分譲開始当初から20年以上の間、住居と店舗との間に管理費に差異がある状態が続いており、本件の管理費等もかかる状態を前提とするものであり、何ら問題とされるものではない。原告らが店舗と住居との間のかかる差異を問題とするものであるならば、それは、分譲当初から何ら異議が述べられることなく20年以上続いた本件マンションの管理費等の全運営に突然異議を唱えるものである。

(5)小括
以上より、各区分所有者は、本件マンションの購入当時より管理費等の金額に合意しており、その後20年以上にわたり何ら問題無くかかる状態が継続してきたものであり、管理費等の定めが有効であることは明らかである。

3総会決議で承認されていること

(1)平成18年5月14日の総会での修繕積立金の改定決議
本件マンションの老朽化が激しくなったことから、平成17年5月頃、当時の本件マンションの管理会社において長期修繕計画が策定され、これに伴い修繕積立金の増額の必要性が明らかとなった。このため、平成18年5月14日、本件マンションの第23期定期総会において、修繕積立金を増額する旨の決議が行われ賛成多数により承認可決された。(甲7第3号議案)なお、当該総会決議については、一部の区分所有者から十分な検討が出来なかった等として決議無効の裁判が提起されたが、平成20年3月30日開催の第25期通常総会で、決議が有効であることが賛成多数で再確認されており(甲12第4号議案(1))、訴訟においても当該決議が有効であることを前提とした和解がなされている(乙7)。

(2)改定管理規約での確認決議
平成23年11月6日、同日に開催された臨時総会において、管理規約の全面改定が議案として提出され、当該改定は承認された(甲16)。
この改定管理規約(現行管理規約(甲17))には、別表に管理費等の金額が平成18年5月14日決議に基づいた具体的な金額として明示されており(甲17 25頁以下の別表第4)、本件マンションの各組合員は、このような金額を明示された上で管理規約の改定の討議を行い、組合員総数及び議決権総数の各々4分の3以上の賛成により特別決議要件を満たして承認されたものである。

(3)小括
以上のように、本件マンションの修繕積立金の金額は本件マンションの総会決議において、的法に変更されており、何ら問題とされるべきものではない。

4 原告らによる総会決議への賛成表明
上記平成18年5月14日の総会決議では、原告㈱H、同F、同Iが賛成票を投じている。また、平成29年3月30日の総会決議では、原告A、同㈱H、同E、同J、同K、同Iが賛成票を投じている。
さらに、平成23年11月6日の総会決議では、原告A、同B、同E、同F、同H、同J、同K、同M、同Iがそれぞれ上記義案に賛成票を投じている。

5 過去の裁判による解決
原告Dと被告との過去の裁判(東京地裁平成20年(ワ)11252号)において、平成18年5月14日の総会が有効である旨確認され、原告Dが改定後の修繕積立金の支払義務を負う旨判示されている(乙8の1)。原告Fは、被告との過去の裁判(東京地裁平成20年(ワ)10234号)において、平成18年5月14日の総会決議に従い、改定後の修繕積立金を誠実に支払う旨をっく訳している(乙8の2)。
原告Mは、被告との過去の裁判(東京地裁平成22年(ワ)34252号)において、和解成立時点(平成23年7月12日)までの被告の総会決議が有効に成立したことを認め、その効力を争わないことを確約している(乙8の3)。
したがって、本件訴訟はこれまでの裁判で解決した内容を不当に蒸し返そうとするものと言わざるを得ない。

第5 結語
以上のことを総合すれば、本件において、管理費等の金額の定めは分譲当初より合意された(或いはその後の総会決議で増額等がされた)ものであり、いずれも有効なものであることは明白である。
したがって、原告らの請求に理由が無いことは明らかであり、速やかに請求が棄却されるべきである。

以上

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