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平成25年(ワ)第39号

原告  店舗組合員 14名

被告  SDマンション管理組合法人

 

第1準備書面

平成25年8月1日

東京地方裁判所

民事第32部3A係 御中

                原告ら訴訟代理人 弁護士

 

(目次)

 

第1  原告らの主張                                                                 3

1  管理費等債権の発生原因                                                       3

(1)  最高裁判所平成16年4月23日第二小法廷判決                                3

(2)  本件へのあてはめ                                                                  4

2  管理費等債権額確定決議の不存在ないし無効                                        6

(1)  管理費等債権額確定決議の不存在                                                 6

(2)  管理費等債権額確定決議の無効                                                    7

(3)  小括                                                                                8

3  債権契約を特定承継人が承継しないこと                                              9

(1)  規約に基づく管理費等債権のみが特定承継人に承継されること                  9

(2)  最高裁平成9年3月27日第一小法廷判決                                       9

(3)  管理契約書による決議を否定した下級審裁判例                                 10

(4)  本件へのあてはめ                                                              11

4  被告が原始規約と主張する乙6について                                          11

(1)  規約の設定・変更・廃止の手続について                                         11

(2)  乙6は区分所有者全員の合意した書面でないこと                              12

(3)  乙6は法19条の「別段の定め」たりえないこと                              13

5  価格表(乙4)及び管理委託契約書(乙5)の不合理性について                 13

(1)  M建設が管理費に格差を設けた事情                                          13

(2)  M建設の設けた格差が事実上のものにすぎないこと                         14

(3)  本件は構造的に起こるべくして起こった紛争であること                       14

6  管理規約(甲2)の設定手続及びその合理性                                     15

7  既判力と反射的効力について                                                      16

(1)  既判力について                                                                 16

(2)  反射的効力(反射効)について                                               17

(3)  小括                                                                           18

第2  被告準備書面(1)の第2・第3記載の事実に対する認否・反論                    18

第3  被告準備書面(1)の第4記載の事実に対する認否・反論                          20

第4  結語                                                                              23

第5  被告に対する求釈明                                                             23

 

 

 

第1  原告らの主張

原告らの主張を提示したうえで,その後被告準備書面(1)記載の事実に対する認否・反論を行う。

1  管理費等債権の発生原因

本件において,管理費及び特別修繕費(修繕積立金)に係る債権(以下「管理費等の債権」または「管理費等債権」という。)は,管理規約の規定に基づいて,基本権(定期金債権)が発生するものである。その理由は次のとおりである。

(1)  最高裁判所平成16年4月23日第二小法廷判決

最高裁判所平成16年4月23日第二小法廷判決・民集58巻4号959頁は,管理費等債権の発生原因について判示したものである。

事実関係の概要等は,「被上告人が定めた本件マンションの管理規約(以下「本件規約」という。)中には,管理費及び特別修繕費(以下,併せて「管理費等」という。)に関する定めとして,次のような規定がある。組合員である区分所有者は,敷地及び共用部分等の管理に要する経費に充てるため,管理費等を被上告人に納入しなければならず,その額については,各区分所有者の共用部分の共有持分に応じて算出し,毎会計年度の収支予算案により,総会の承認を受けるものとする(25条)。特別修繕費は修繕積立金として積み立てるものとする(28条1項)。被上告人は,管理費等について,組合員が各自開設する預金口座からの自動振替の方法等により翌月分を毎月末日までに一括して受け入れる方法により徴収するものとする(58条1項)。管理費等の額,賦課徴収方法等については,総会の決議を経なければならない(47条)。」というものである。

以上のような事実関係について,同判決は,「本件の管理費等の債権は,前記のとおり,管理規約の規定に基づいて,区分所有者に対して発生するものであり,その具体的な額は総会の決議によって確定し,月ごとに所定の方法で支払われるものである。このような本件管理費等の債権は,基本的たる定期金債権から派生する支分権として,民法169条所定の債権に当たるものというべきである。その具体的な額が共用部分等の管理に要する費用の増減に伴い,総会の決議により増減することがあるとしても,そのことは,上記の結論を左右するものではない。」(傍点引用者)と判示した。

そして,同判決について,判例タイムズ1152号147頁のコラム解説は,「管理費等の具体的な額が,毎年の総会決議(具体的には予算案の承認等の形式と思われる。)によって確定するとされている場合であっても,各区分所有者が管理費等の納入義務を負うこと自体は,管理規約に定められており,かつ,それが月ごとに支払われるものとして管理規約上に規定されているときは,上記総会決議をもって,管理費等の徴収権限がその都度創設的に成立すると理解するのは困難と思われる。むしろ,このような場合には,管理規約が基本権としての定期金債権を定めるものであり,月々支払うべき具体的な管理費等債権は,この基本権から派生する支分権として発生するものと解するのが相当であろう。本判決は,以上のような考え方に基づくものと解される。」「判断要素として挙げられている点は,いわゆる標準管理規約に準拠した一般的なマンション管理規約に基本的に妥当する内容と思われ,その射程は大多数の管理組合に広く及ぶことになることが予想され,今後の実務に与える影響は大きいと思われる。」(傍点引用者)と述べている。

なお,上記判示からは必ずしも明らかではないが,月々支払うべき具体的な管理費等債権が支分権として発生(派生)する時期については,おそらく,毎月の支払期日の当日にそのつど発生するというよりも,具体的な額が総会の決議(以下「管理費等債権額確定決議」という。)によって確定したときに1会計年度の12回分が支分権として発生したうえで,毎月の支払期日に各回の弁済期が到来すると解されることになるのではないかと思われる。

(2)  本件へのあてはめ

以上を本件について見ると,甲2(平成18年に変更される前の被告の管理規約であることは当事者間に争いがない。)によれば,

ア  管理費等の納入義務

「区分所有者は,敷地及び共用部分の管理に要する経費にあてるため,次の費用(以下「管理費等」という)を管理組合に納入しなければならない。一)管理費 二)修繕維持積立金(以下略)」(35条1項),

イ  金額算出基準

「前項の金額については,各区分所有者の共有持分に応じて算出する。」(同条2項),

ウ  収支予算案等により総会の承認を受ける義務

「理事長は,毎会計年度の収支予算案を通常総会に提出し,その承認を得なければならない。」(47条1項),「次の各号に掲げる事項については,総会の決議を経なければならない。(中略)2)収支予算及び事業計画 3)管理費等の額並びに賦課徴収方法」(24条),

エ  特別修繕費の積立

「管理組合は,修繕維持積立金を次の項に定める特別の管理に要する経費に充てるため,積み立てるものとする。」(38条1項),「修繕維持積立金は,次の各号に挙げる経費に充当する場合に限って,取り崩す事ができる。一)不測の事故,その他特別の理由により必要とされる修繕(以下略)」(38条2項),

オ  徴収方法

「管理組合は,第35条に定める管理費等について,組合員が各自開設する預金口座から,毎月28日の期日に自動振替えの方法により管理費を徴収する。(以下略)」(49条1項),

と規定しており,この規定ぶりは,前掲最高裁平成16年4月23日判決が前提とする事実関係と同様である。

また,甲6(原告らは,甲6への変更が平成18年5月14日定期総会で可決とされたと主張し,被告は,甲6は乙1を微修正したもので,甲6への変更が平成18年7月30日臨時総会で否決されたと主張している。)ないし乙1(被告らは,乙1への変更が平成18年5月14日定期総会において承認可決されたと主張している。)も,管理費等の納入義務(25条1項),金額算出基準(25条2項),収支予算案等により総会の承認を受ける義務(58条1項,48条2号・3号),特別修繕費の積立(28条1項)及び徴収方法(60条1項)について,同様の規定を置いている。

更に,甲17(被告は,甲17への変更が平成23年11月6日臨時総会で可決されたと主張している。)も,管理費等の納入義務(27条1項),収支予算案等により総会の承認を受ける義務(60条1項,50条2号・3号),特別修繕費の積立(30条1項)及び徴収方法(62条1項)について,同様の規定を置いている。なお,甲17が記載する金額算出基準(27条2項)は,従前の管理規約におけるのと異なっており,その有効性が本件争点の一つとなっている。

以上のとおり,被告の管理規約における管理費等についての規定ぶりは,管理規約の新旧にかかわりなく,前掲最高裁平成16年4月23日判決が前提とする事実関係と同様である。したがって,本件においても,基本権(定期金債権)たる管理費等の債権は,管理規約の規定に基づいて,区分所有者に対して発生するものと解される。

2  管理費等債権額確定決議の不存在ないし無効

(1)  管理費等債権額確定決議の不存在

前記引用のとおり,甲2の管理規約は,「次の各号に掲げる事項については,総会の決議を経なければならない。(中略)2)収支予算及び事業計画 3)管理費等の額並びに賦課徴収方法」(24条)と規定しており,甲6ないし乙1(48条2号・3号)及び甲17(50条2号・3号)も同様の規定を置くが,被告は,毎年の定時総会で,収支予算案の承認決議(上記各2号)はするものの,「管理費等の額」の決議(上記各3号。以下「管理費等債権額確定決議」という。)はしていないので,甲2の24条3号,甲6ないし乙1の48条3号,及び,甲17の50条3号に各違反している。

仮に,毎年の定時総会でなされる収支予算案の承認決議をもって管理費等債権額確定決議に代用していると善解し得たとしても,被告が毎年の定時総会に提出してきた収支予算案は,管理費及び修繕積立金の毎月の合計額とこれに12を乗じて得られる年額合計が記載されているだけであり,各区分所有者ごとの金額がまったく記載されておらず,この点についての補足説明もなされてこなかったから,各区分所有者ごとの具体的な額を確定する管理費等債権額確定決議としては,不備・不存在といわざるをえない。

(2)  管理費等債権額確定決議の無効

仮に更に百歩を譲り,収支予算案で集計・記載された月額合計の算定根拠となるような各区分所有者ごとの金額内訳を記載した書面を被告が別途作成しており,そのようなものも含めて承認決議がなされていると善解し得たと仮定しても(ただし,そもそも,平成18年5月14日総会の際に至るまで,かかる各区分所有者ごとの金額内訳は,原告ら区分所有者に開示されたことがなく,決議権者たる原告らとしてはその存在すら知らないのであるから,そのような事項が承認決議の対象とされたとするのは,甚だ無理な構成といわざるをえない。),かかる収支予算案における各区分所有者ごとの管理費等債権の額は,管理規約が「各区分所有者の共有持分に応じて算出する。」と定めるところに違反してはならず,これに違反した場合には,決議は無効と解される。その理由は次のとおりである。

第1に,管理費等債権額確定決議は,管理規約が規定する基本権(定期金債権)たる管理費等債権について,当該年度の各区分所有者ごとの額を確定し,支分権を派生させるものであるから,「各区分所有者の共有持分に応じて算出する。」という管理規約の金額算出基準に違反することができないのは,上位規範(管理規約)を具体化する下位規範としての性質上,当然のことと解される。

第2に,建物区分所有法(以下単に「法」ともいう。)は,「各共有者は,規約に別段の定めがない限りその持分に応じて,共用部分の負担に任じ」(19条),「各共有者の持分は,その有する専有部分の床面積の割合による。」(14条1項),「前三項の規定は,規約で別段の定めをすることを妨げない。」(同条4項)と規定することによって,専有部分の床面積の割合によらない管理費等の負担が同法の規定と異なる「別段の定め」であること,かかる「別段の定め」は規約によってのみ行うことができるいわゆる絶対的規約事項であることを明らかにしている。そして,法は,「規約の設定,変更又は廃止は,区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議によってする。」と規定し,規約の設定・変更等をいわゆる特別決議事項としている。したがって,このような別段の定めを普通決議事項である管理費等債権額確定決議(収支予算案承認決議)の形式で行うことは,同法19条,14条1項,3項を潜脱することとなり,許されないものと解される。

(3)  小括

管理費等債権の発生プロセスは以上のとおりである。管理規約に基づき基本権(定期金債権)たる管理費等債権が発生するのであり,定時総会における決議は,管理規約に違反しない限りにおいて,管理費等債権の額を確定し,支分権たる具体的な管理費等債権を発生(派生)させるものと解される。

また,以上の債権発生プロセスからすれば,管理費等債権の存否・内容は,管理規約の存否・内容,及び,管理規約に違反しない範囲内において管理費等債権の額を具体化し確定させる総会決議の存否・内容によって決せられるのであり,被告が主張するような諸般の事情の「総合判断」によって決せられるものではない。管理費等債権の存否・内容は,区分所有建物の譲受人等,多数人の利害にかかわる事項であるから,「正当理由」というような規範評価的事由によって要件事実を規定するのは不相当であり,実際にも,建物区分所有法の仕組みがそのようにはなっていないことは,前掲の最高裁判所平成16年4月23日第二小法廷判決や後掲の最高裁平成9年3月27日第一小法廷判決に徴して,明らかである。

したがって,例えば,20年以上の間異議が述べられてこなかったというような理由で,管理費等債権の存否・内容が決せられたり,設定されていない管理規約が設定されたことにされたり,あるいは,管理規約に違反する管理費等債権額確定決議(収支予算案承認決議)が有効とされたりすることはありえない。被告が主張する「総合判断説」は,建物区分所有法の下における解釈として失当といわざるを得ない。

3  債権契約を特定承継人が承継しないこと

(1)  規約に基づく管理費等債権のみが特定承継人に承継されること

建物区分所有法は,管理組合法人がその業務を行うにつき区分所有者に対して有する債権については,債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができると規定する(8条,7条1項後段)。

しかし,そこでいう「業務を行うにつき区分所有者に対して有する債権」とは,少なくとも,基本権(定期金債権)たる管理費等債権に関する限り,管理規約に基づくものでなければならないと解される。なぜならば,前記のとおり,基本権(定期金債権)たる管理費等の債権は,管理規約の規定に基づいて,区分所有者に対して発生するものであり,他方,管理組合法人は,共用部分の負担に関する事務を,管理規約に基づいて執行しなければならないからである(法52条1項,19条)。

(2)  最高裁平成9年3月27日第一小法廷判決

最高裁平成9年3月27日第一小法廷判決・判例タイムズ947号204頁は,1983(昭和58)年改正前の建物区分所有法についての事例であるが,「同法は,建物の使用に関する区分所有者相互間の事項については,これを規約で定めることができるものとし(23条),かつ,規約は区分所有者の特定承継人に対してもその効力を生ずる旨を定めていた(25条)。その趣旨は,区分所有建物の特殊性にかんがみ,区分所有権を取得しようとする者は,規約を点検することによって,自己が権利を得ようとする物件について存在する各種の制限を知り得ることを前提としたものである。したがって,特定承継人をも拘束し得る制限条項を設けるためには,すべて画一的に規約(現行法の下においては,規約又は集会決議)によってこれを明記しておくことが求められるのであって,元所有者又は前所有者がした債権契約に基づく権利制限の合意を安易に規約上定められた制限条項と同視することは許されない。」と判示した。そして,この判示は,現行法下においても同様に妥当するものと解される。

(3)  管理契約書による決議を否定した下級審裁判例

下級審裁判例には,管理契約書の作成をもって集会の決議があったとみなすことはできないと判示したものがある。

すなわち,東京地方裁判所平成5年12月3日判決・判例タイムズ872号225頁は,「被告は,管理者の選任につき区分所有者全員の書面による合意があったと主張するが,本件全証拠を検討しても,区分所有者全員との間で,もれなく管理契約書が作成されたか,必ずしも定かではなく,全員の書面による合意があったと認めるには十分でないから,この点でも,管理者の選任について集会の決議があったとみなすことはできない。」(傍点引用者)などと判示している。

また,東京地方裁判所平成5年11月29日判決・判例時報1499号81頁も,分譲業者が区分所有者らと個別的に管理契約を締結し,管理業務を担当していた事案で,分譲業者が管理者の選任につき区分所有者全員の書面による合意があったと主張したのに対し,「本件全証拠を検討しても,区分所有者全員との間で,もれなく管理契約書が作成されたか,必ずしも定かではなく,全員の書面による合意があったと認めることはできないから,この点でも,管理者の選任について集会の決議があったとみなすことはできない。」(傍点引用者)などと判示している。

(4)  本件へのあてはめ

以上を本件について見ると,昭和56年ころ分譲された本件マンションについて,原告らが各区分所有権を取得した時期は,訴状別紙「管理費等目録」の「所有権取得」欄に記載したとおりであり,本件マンションの分譲業者と新規分譲時の買受人との間で,管理費等の額について何らかの債権契約が締結されたと仮定しても,かかる債権契約に基づく負担を特定承継人である原告らが引き継ぐことはない。

そもそも,被告が持ち出す重要事項説明書(乙3)中の「販売に関する重要事項」は,「(販売)契約時にTサービス㈱と購入者との間に管理委託契約を締結していただきます。」(15項(1)),「本物件竣工時点のタイプ別管理費及び補修積立金の額については,別添価格表をご参照願います。」(15項(2))と記載しているとおり,管理費等について別途の債権契約を予定していることが明らかである。

そして,被告が援用する管理委託契約書(乙5)にしても,区分所有者全員がこれによって同意したとは認められないから,前記(3)の各判示のとおり,規約の設定決議には該当せず,せいぜい単なる債権契約の締結を証するにすぎないものであって,特定承継人である原告らを拘束するような性質のものではない。

4  被告が原始規約と主張する乙6について

(1)  規約の設定・変更・廃止の手続について

規約の設定・変更・廃止は,必ず集会の決議によって行わなければならない。集会を開催せずに,単に書面による持回り決議のような形で区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数の賛成を集めても,法31条1項の決議とはならない。

もっとも,分譲マンションの原始規約の設定手続においては,分譲業者が規約案を作成し,分譲の際に各購入者にこれを示して書面による同意を得て,全区分所有者の同意書面が得られた時に規約を成立させるという方式が一般に広く用いられている。そのような規約の設定も,区分所有者全員の合意がある限りにおいて,法45条2項(平成14年改正前は45条1項)によって有効と解されている(「コンメンタールマンション区分所有法(第2版)」187条,241頁,「基本法コンメンタール(第三版)マンション法」66頁)。

(2)  乙6は区分所有者全員の合意した書面でないこと

被告が分譲当時の管理規約であると主張する書面(乙6)は,本件マンションの分譲業者であるM建設株式会社(以下「M建設」という。)又はその関連会社が原案を起案したものと見られる。

乙6には,建物竣工時より向こう1年間はTサービス(以下「Tサービス」という。)を管理者とする旨の記載があるが(16条1項),同社は本件マンション敷地の地権者であったD建設株式会社(以下「D建設」という。)の関連会社であり,Tサービスを管理者としたのは分譲業者・M建設から地権者・D建設への利益供与と考えられる。そして,M建設側は,専有部分の分譲のつど,Tサービスを介するなどして,買受人から,「管理委託契約書」(乙5)を取り付けるとともに「規約承認書」による規約(乙6)への同意を得ようとしたとは考えられるが(乙6の36条),区分所有者全員の同意を得たとは認められず,乙6による有効な規約の設定があったとはいえない。

というのも,本件マンションは,分譲時,かなりの数の売れ残りを抱えていたのである。店舗で言えば,113ないし116号室は約3年間,117号室は約5年間売れ残っていた。M建設が開発・施工に関与した業者らに売れ残りの店舗を抱えさせた案件も複数ある。例えば,102号室は元請であるS工業が,109ないし111号室は下請であるMM建設が,112号室は下請であるK組が抱えさせられていた。

M建設ないしTサービスが,これらの建設業者から,「規約承認書」による規約への同意を取り付けていたとは考え難い。また,竣工後数年経って,売れ残り物件がM建設ないし上記建設業者から第三者に売却された際に,当該第三者から「規約承認書」が徴求されたとも考え難い。けだし,売れ残り物件を押し付けられた建設業者は,物件を第三者に売却して損失を転嫁することしか関心がなく,M建設は,売れ残り物件をこれら建設業者に押し付けることで,既に本件マンションとの利害関係が疎遠になっており,Tサービスも,竣工時より1年間の任期満了後,引き続き管理者の地位を保持したかがはっきりしないうえに,売れ残り物件の売却先である第三者から,「規約承認書」を徴求したかも全く判然としないのである。

(3)  乙6は法19条の「別段の定め」たりえないこと

被告が原始規約と主張する乙6には,各区分所有者は「タイプ別の管理費」(13条1項)・「各管理費の10%相当額の補修積立金」(14条1項)を負担する旨が記載されているが,「タイプ別の管理費」という抽象的文言が,別紙等の形式で金額的に具体化されていないことは,被告も自認するところである。

このように,乙6の「タイプ別の管理費」という抽象的文言は,何ら具体的な金額を伴わぬものであるから,そもそも乙6は,法19条所定の「別段の定め」を規定したものとは解釈し得ないものである。

5  価格表(乙4)及び管理委託契約書(乙5)の不合理性について

(1)  M建設が管理費に格差を設けた事情

被告の証拠説明によれば,価格表(乙4)はM建設が昭和56年ころに作成し,管理委託契約書(乙5)はTサービスが同年ころ作成したとのことである。これによると,前者(乙4)は勿論,後者(乙5)の4条・5条の価格体系についても,M建設が企画立案・指示したと考えられる。

その際,M建設が,店舗と住戸の1平米あたりの管理費の額に約2.45倍という事実上の格差を設けたのは,住戸の分譲販売を促進するための価格政策を採ったからであると考えられる。

分譲当初,本件マンションの屋上には店舗用のクーリングタワーが設置され,同1階には店舗用の共同便所が設けられていたのであるが,他方で,店舗はすべて1階に所在し,多額の経費を要するエレベータを使用する機会は事実上殆どないこと等を考え併せれば,これら施設の利用関係に基づいて上記のような著しい格差が設定されたとは考えられない。また,いずれにせよ,上記クーリングタワー・共同便所とも,その後,廃止されるに至っている。

したがって,上記格差の合理性を裏付ける事実は存在せず,単にM建設が,住戸販売の便宜のため,上記のような格差を事実上設けたにすぎないと考えられる。

(2)  M建設の設けた格差が事実上のものにすぎないこと

前記3(4)で指摘したとおり,価格表(乙4)及び管理委託契約書(乙5)4条・5条は,せいぜい債権契約の締結を証する書面にすぎず,これらを内容とする規約が設定されたとは認められない。また,被告が原始規約と主張する書面(乙6)は,区分所有者全員が合意したものとは認められないから,規約の設定を示すものではない。

のみならず,前記4(3)で指摘したとおり,乙6は,「タイプ別管理費」(13条1項)という抽象的文言を,別紙等の形式で金額的に具体化しておらず,価格表(乙4)及び管理委託契約書(乙5)4条・5条を引用した形跡もないから,そもそも乙6は,法19条所定の「別段の定め」を規定したものとは解釈し得ないものである。

(3)  本件は構造的に起こるべくして起こった紛争であること

実際の規約例中には,一部の区分所有者に共用部分の使用に関する特別の利益を与えたり(たとえば,マンションの敷地の元地主や分譲業者などに共用部分の無償かつ無期限の専用使用権を付与する場合など),管理費等の負担について区分所有者間で格差を設けたりするものもあり,それが往々にして,区分所有者あるいは区分所有者と分譲業者(分譲時の規約原案の作成者)との間の紛争や訴訟の原因となるケースが見受けられる。このような格差が設けられ,紛争に至る原因としては,分譲業者が新規分譲にあたって規約案を用意し,専有部分の分譲ごとに買受人の同意を取り付けていくという方式をとったことに基因することが多いといわれている(「基本法コンメンタール(第三版)」63頁,74頁参照)。

本件もまさに,この種の紛争類型に一例を付け加えるものである。被告は,原告らの主張を,何ら根拠がなくかつ突拍子もないものと決めつけるが,前記5(1)で指摘したとおり,本件は,分譲業者が住戸の販売促進のために著しく不衡平な管理費等の額を設定しようとしたことに基因して構造的・必然的に発生したものであり,起こるべくして起こった紛争である。また,かかる格差に基づく紛争の顕在化が遅れ,いまだに解決を見ていないのは,訴えの追加的変更申立書第2の1(4)(3頁)で指摘したとおり,被告の情報隠蔽体質,一部の者による役員独占,欺まん的な総会運営,管理会社との癒着などの腐敗要因によるものである。

被告が,原告らの主張を根拠がなく突拍子がないと批判するのは,まったく的はずれである。

6  管理規約(甲2)の設定手続及びその合理性

管理規約(甲2)は,平成12,3年ころ,区分所有者の総会において特別多数決議により設定されたものであり,その35条2項が「金額については,各区分所有者の共有持分に応じて算出する。」と規定しているとおり,法19条の原則に対する「別段の定め」を設けないことを規定している。

竣工・分譲時から19ないし20年が経過し,M建設が管理費等に格差を設けた理由である住戸の販売促進は,既に過去の経緯にすぎなくなっており,また,クーリングタワーや共同便所など施設の利用関係も含め,管理費に格差を設けることを合理化するような事情が存しないことを,関係者の誰もが認識していたからこそ,平成12,3年当時の管理規約(甲2)は,法19条の原則に対する「別段の定め」を設けないことを規定したものである。

7  既判力と反射的効力について

被告は,乙8の1ないし3を引用し,本件訴訟はこれまでの裁判で解決した内容を不当に蒸し返そうとするものであると批判する。

(1)  既判力について

しかしまず,乙8の1は,平成17年5月分から平成22年2月分までという一定期間の管理費等につき支払を命じた給付判決にすぎず,被告が主張するような「平成18年5月14日の総会が有効である」旨を確認した判決ではないから,後者の点に既判力は生じない。

また,乙8の2も,一定期間の管理費等の支払を約し(和解条項1項),平成18年5月14日に開催された定期総会の決議に従い修繕積立金を支払うことを約したものにすぎず(和解条項17項),同決議の有効性や同決議による規約変更の成否について確認したものではない。

更に,乙8の3は,本件マンション地下1階部分の駐車場の使用の可否及び使用料に関する紛争であって,管理費・修繕積立金に関わるものでないことが和解条項上一見明白であるから,和解条項10項が,「被告らは,本件和解成立時点までの原告の総会決議が有効に成立したことを認め,その効力を争わないことを確約する。」と規定しているのは,和解契約の意思解釈として,駐車場の専用使用権や使用料に関する決議の効力を争わない趣旨と解するのが合理的であり,管理費・修繕積立金に関する決議についてまでも,和解成立時点までのものは一切争わないと約したものではない。和解成立時点までの文字通りすべての総会決議の効力を争えない趣旨であるとすれば,それは公序良俗に違反し無効と解するほかない。

他方,乙8の1ないし3の当事者ではない原告らについては,特に論ずるまでもなく,被告の主張が妥当しないことが明らかである。

(2)  反射的効力(反射効)について

そして,以上いずれにせよ,乙8の1ないし3の当事者ではない原告らが,本件において規約変更の無効ないし不存在を確認する判決を得た場合には,その判決の反射的効力として,乙8の1ないし3の当事者である原告ら(以下「前訴当事者」という。)も,規約変更の無効ないし不存在を自己に有利に援用することができるというべきである。その理由は次のとおりである。

反射的効力とは,第三者が直接に判決の既判力を受けるわけではないが,当事者間に既判力の拘束のあることが,当事者と特殊の関係にある第三者に,反射的に利益または不利益な影響を及ぼすことを,判決の効力の一種として表現したものである。これを本件について見ると,まず,①被告と前訴当事者とは,管理組合法人とその構成員という特殊の関係に立っている(法47条,3条)。そして,②被告は,区分所有者の共用部分の負担及び利益収取などについて,住戸及び店舗のいずれに対しても,原則としてその持分に応じて処遇しなければならず,このことは前訴当事者といえども例外ではない(法19条,29条,38条,14条等)。また,③被告は,区分所有者の共用部分の負担及び利益収取などに関する事務を,建物区分所有法又は管理規約に基づいて執行しなければならず,このことは前訴当事者に対する関係でも同様である(法52条1項,14条4項,19条,38条)。他方,④適法に設定・変更された管理規約は,その設定・変更の決議に反対した者も含め区分所有者全員を拘束し,更に,その効力は,管理費等債権などに関し,区分所有者の特定承継人にも及ぶ(法8条)。

以上のような被告と前訴当事者との特殊な関係に鑑みると,被告が,乙8の1ないし3の当事者でない原告らに敗訴した結果,管理費等について,住戸及び店舗のいずれに対しても,共用持分割合に従って平等に事務の執行をしなければならなくなった場合には,前訴当事者に対しても,共用持分割合に従って平等に事務の執行をしなければならなくなると解される(反射的効力)。

そうである以上,そもそも前訴当事者が本件の原告になっている場合には,乙8の1ないし3の存在にかかわりなく,乙8の1ないし3の当事者でない原告らと前訴当事者とを,訴訟手続及び判決において同じに取り扱うのが相当と解されるのである。

(3)  小括

以上の次第であるから,被告の標記批判は失当というべきである。

 

第2  被告準備書面(1)の第2・第3記載の事実に対する認否・反論

1  第2の1は,被告が指摘するとおり,原告株式会社H,同C,同J・K,同有限会社Iが過去の区分所有者であることは認める。

もっとも,本件においては,平成14年5月分からの過払い管理費・修繕積立金の返還を求めていることから,過去の区分所有者も当事者となっている。

2  同2は,被告の主張が,訴状別紙と甲9とで内容が異なるとの趣旨であれば否認ないし争う。訴状別紙記載の金額は,甲9記載の「管理費」「積立金」の金額の合計であり,両者に齟齬はない。

甲9が,甲4に添付されたとの点,甲3とともに事前に配布されたとの点は否認ないし争う。

3  同3は否認ないし争う。

4  第3の2(2)の第2文以降は,被告が,乙1について,案ではなく正文を開示し,写しではなく原本を提示するまで,認否を留保する。

乙1の73条は,「この規約を証するため,各理事が記名押印した規約を1通作成し,これを規約原本とする。」(1項),同条2項「規約原本は,理事長が保管し,区分所有者又は利害関係人の書面による請求があったときは,規約原本の閲覧をさせなければならない。」(2項)と規定しているので,被告には,乙1について文書提出義務がある(民訴法220条1号・2号・3号)。

5  同2(3)及び同3(2)は否認する。

理由は前記第1の3・4で詳述したとおりである。

6  同4(1)は否認ないし争う。

仮に被告が主張するように,招集通知(甲13)に管理組合法人規約集(甲17)が添付されていたとしても,「別表第4」は,甲17の第25頁目にあり,その存在を覚知し難い。また,議案説明書(甲14)も,規約改正の提案理由として,「国土交通省から発行の『マンション標準管理規約』が,マンションに関する法制度の改正やマンションを取り巻く情勢の変化等に対応する為,平成23年7月に見直されております。」などと記載するにとどまっていたから,管理費・修繕積立金の金額に注意を払い得るような内容ではなかった。

また,被告は,管理規約の見直しについて,別途,説明会を開催したことも一切なかったため,原告らは管理費・修繕積立金の金額について問題意識を持つことができなかった。実際,平成23年11月6日開催の臨時総会において,管理規約の全面改正に関して質疑応答はなされず,わずかに,ガス給湯器へ変更する場合の工事の届出方法(使用細則関連)とペット飼育のマナー(ペット飼育細則関連)に関する質疑応答がなされるにとどまった(甲16)。

更に,甲17の表紙には,新しい規約であることが看取できる記載がまったく存在しない。この規約集が平成23年11月6日から効力を発生することは,第23頁目の附則まで見ないと分からない。

したがって,原告において甲17を新規約と認識することはできなかった。

7  同4(2)は否認する。

理由は前記第1の3・4で詳述したとおりである。

 

第3  被告準備書面(1)の第4記載の事実に対する認否・反論

1  1項は,第1段を争い,続く①ないし④に対する認否・反論は次項以下のとおりである。

2(1)  2項(1)について

乙3ないし4を丸善建設が昭和56年ころ作成したこと,重要事項説明書(乙3)の「販売に関する重要事項」に,「本物件竣工時点のタイプ別管理費及び補修積立金の額については,別添価格表をご参照願います。」(15項(2))との記載があること,乙4の価格表に,各タイプの専有面積,住戸及び店舗の管理費・修繕積立金の額の記載があることは認め,その余は不知ないし否認する。

乙3ないし4に上記のような記載があることは,単に,分譲業者の作成した印刷物に金額の記載があるという事象にすぎないのであり,これが直ちに規範性を有するものでないこと,したがって特定承継人を拘束するものでないことは,前記第1の3で詳述したとおりである。

(2)  2項(2)について

乙5の作成は不知,乙5に各タイプに応じた管理費・修繕積立金の額が記載されていることは認め,その余は不知ないし否認する。

乙5に上記のような記載があることは,単に,Tサービスと昭和56年分譲時における一部の購入者との間で管理委託契約が締結された可能性を示唆するものにすぎず,これが直ちに規範性を有するものでないこと,したがって特定承継人を拘束するものでないことは,前記第1の3で詳述したとおりである。

(3)  2項(3)について

乙6の13条1項及び14条1項に被告が主張するような記載があることは認め,その余は否認する。

乙6に上記のような記載があることは,単に,分譲業者の作成した印刷物にそのような記述があるという事象にすぎないのであり,これが直ちに規範性を有するものでないこと,したがって特定承継人を拘束するものでないこと,乙6が記載する「タイプ別の管理費」(13条1項)という抽象的文言は,別紙等の形式で金額的に具体化されておらず,そもそも法19条の原則に対する「別段の定め」を規定したものとは解し得ないことは,前記第1の4で詳述したとおりである。

(4)  2項(4)について

否認する。

原告らが区分所有権を取得した時期は,訴状別紙「管理費等目録」の「所有権取得」欄に記載したとおりであり,原告らが区分所有者として20年以上の間異議を述べなかったとの被告の主張が事実でないこと,管理費等債権の存否は,管理規約及びこれに違反しない範囲内において金額を具体化・確定させる総会決議があるか否かによって決まるのであり,異議を述べたか否かなど被告が主張するような諸般の事情を総合することによって存否が決せられるものでないことは,前記第1の1・2(特に2(3))で詳述したとおりである。

3(1)  3項(1)について

平成17年5月頃,D株式会社が長期修繕計画表を作成したこと,平成18年5月14日開催の第23期定期総会において,修繕積立金を平成18年8月分より12.5倍に改定する議案が,普通決議事項の議決要件を充たしたとして可決とされたこと,一部の区分所有者から平成20年2月1日に決議無効確認請求訴訟が提起されたこと,平成20年3月30日開催の第25期定期総会において,修繕積立金を平成18年8月分より12.5倍に改定するとの第23回定期総会決議を信任する旨の議案が,普通決議事項の決議要件を充たしたとして可決とされたことは認め,その余は否認する。

上記各決議とも,規約変更により法19条の原則に対する「脱段の定め」を設けるものではなく,特別決議事項の議決要件を充たすものでもなかったことは,訴えの追加的変更申立書第2の2(4)(6頁)及び3(3)(8頁)で詳述したとおりである。

(2)  3項(2)について

平成23年11月6日開催の臨時総会において,管理規約の改定が議案として提出されたこと,当該議案が特別決議事項の議決要件を充たしたとして可決とされたことは認め,その余は否認する。

同総会の招集・開催の状況は,訴えの追加的変更申立書第2の4(1)・(2)(9ないし11頁)で詳述したとおりであり,「別表4」(甲17・25頁以下)が,招集手続の重大な瑕疵,原告らの承諾(法31条1項)の欠缺,建物区分所有法30条3項及び公序良俗の違反,法律行為としての不特定性により,規約としての効力を持たないものであることは,訴えの追加的変更申立書第2の4(3)(11頁以下)で詳述したとおりである。

4  4項について

認否留保。平成18年5月14日定期総会,平成20年3月30日通常総会及び平成23年11月6日臨時総会の各決議における投票状況を示す証拠を開示されたい。

これらの証拠は,原告らと被告との間の法律関係について作成されたものであり,民訴法220条4号イないしホのいずれにも該当しないから,被告には,これらの証拠について文書提出義務がある(民訴法220条3号・4号)。

5  5項について

乙8の1記載のとおり判決が言い渡されたこと,乙8の2記載のとおり和解が成立したこと,乙8の3記載のとおり和解が成立したことは認め,その余は否認ないし争う。

乙8の1ないし3が本件原告に及ぼす効力が,被告の主張するようなものでないことは,前記第1の7で詳述したとおりである。

 

第4  結語

以上のとおり,本件において,管理費等についての建物区分所有法19条の原則に対する「別段の定め」をする管理規約は,分譲時には設定されておらず,むしろ,平成12,3年頃設定された管理規約(甲2)は,かかる「別段の定め」をしないことを規定している。

また,平成18年決議・平成20年決議とも,かかる「別段の定め」を特別決議事項として可決したものではなく,平成23年決議は,従前の規約を変更して,「別表4」(甲17・25頁以下)を設定しようと企図するものではあったが,総会招集手続の重大な瑕疵,原告らの承諾(法31条1項)の欠缺,建物区分所有法30条3項及び公序良俗の違反,法律行為としての不特定性により,規約変更の効力を持たないものである。

 

第5  被告に対する求釈明

1  前記第2の4で求めたとおり,乙1について,案ではなく正文を開示し,写しではなく原本を提示されたい(民訴法220条1号・2号・3号)。

2  前記第3の4で求めたとおり,平成18年5月14日定期総会,平成20年3月30日通常総会及び平成23年11月6日臨時総会の各決議における投票状況を示す証拠を開示されたい(民訴法220条3号・4号)。

以 上

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