スポンサードリンク

第1章 総則

(目的)
第1条 この細則は東京マンション管理組合規約(以下「規約」という。)に基づき、管理組合の管理、運営に伴う会計業務を規定することにより、会計処理を正確、適切に処理し、円滑な運営ができることを目的とする。
2 本細則中の所定様式とは別途理事会で定める様式をいう。

(一般原則)
第2条 管理組合は、次条の会計区分ごとに、次に定める原則に従って、収支予算書、会計帳簿及び計算書類(収支計算書、正味財産増減計算書、貸借対照表及び財産目録をいう。以下同じ。)を作成しなければならない。
一 収入および支出は、予算に基づいて行わなければならない。
二 会計帳簿は複式簿記の原則に従って正しく記帳しなければならない。
三 計算書類は、会計帳簿に基づいて収支及び財産の状況に関する真実な内容を明瞭に表示するものでなければならない。
四 会計処理の原則及び手続き並びに計算書類の表示方法は、毎会計年度これを継続して適用し、みだりに変更してはならない。

(会計区分)
第3条 前条の目的遂行のため次の会計区分を設ける。
一 一般会計
(1)管理費会計
(2)修繕積立金会計
二 特別会計
課税対象となる収益事業を行う場合のみこの会計処理を行う。

(会計間の流用)
第4条 一般会計と特別会計間の予算の流用は、行わない。
但し、総会の承認を得た場合は次の方法にて処理を行う。
一 特別会計上の収入または費用の源泉が区分所有建物に由来する場合は、損益とも建物の持分の割合に従って区分所有者に帰属するものとして一般会計上の二会計区分の基準に従って配分又は負担させる。
二 特別会計上の収入又は費用の源泉が区分所有建物の敷地に由来する場合は、損益とも敷地の持分の割合に応じて区分所有者に帰属するものとして一般会計の二会計区分の基準に従って配分又は負担させる。
2 前条第1項各号又は同項一号(一)(二)の各会計区分間の予算の流用は、総会の承認を受けて行わなければならない。但し、修繕積立金会計から管理費会計への流用は、行わないものとする。

(会計期間)
第5条 会計年度は、管理組合規約に定める毎年 月 日より翌年 月 日とする。

(会計業務の内容)
第6条 この細則による会計業務の内容は次の通りとする。
(1)現金及び預金の出納、保管
(2)会計帳簿の設定、記録及び整理
(3)資金の運用
(4)月次決算、年次決算
(5)年次予算
(6)監査

(帳簿及び書類の保存期間)
第7条 帳簿及び書類の保存期間は、次のとおりとする。
(1)永久保存書類
総会及び理事会議事録
管理規約改正関連資料
業務委託・工事契約書・駐車場契約書その他の契約書
訴訟関連資料
建物建築図面
その他、理事会において永久保存とされた書類
(2)10年間保存書類
会計帳簿、会計伝票及び証憑類
その他理事会で10年間保存とされた書類
(3)月次収支計算表 (7年)
(4)前3項以外の帳簿、伝票及び書類 (7年)
2 前項の書類は整然にファイリングする。

(内部牽制)
第8条 理事は業務上の不正、脱漏、誤謬等の発生を防止し、会計処理の適正を期するため、次の事項に留意しなければならない。
2 銀行印は理事長が保管し、預金通帳は会計担当理事が保管する。但し、管路会社に委託する業務の必要により預金通帳を一時管理会社に保管させることが出来る。
3 管理組合が保有する資金については管理会社名義の預金口座で保管させてはならない。
4 預金通帳の副印鑑の制度は利用しない。
5 銀行のキャシュカードは作成しない。
6 会計担当理事2名は、それぞれの業務分担及び責任区分を明確にし、金銭の出納、保管、記録、計算の業務の分離を図る。
7 各記録の帳簿、現物、証憑類相互の照合確認を定期的に行う。

第2章 会計帳簿、会計伝票及び勘定組織
(主要簿)
第9条 管理組合は、次の主要簿を備え、全ての取引について記帳しなければならない。
一 仕訳帳又は仕訳伝票
二 総勘定元帳

(補助簿)
第10条 管理組合は、次に掲げる補助簿を備え、関係事項を記帳しなければならない。
一 現金出納帳
二 預金出納帳
三 収支予算の管理に必要な帳簿
四 固定資産台帳
五 基本財産明細表
六 会費明細表

(勘定科目)
第11条 勘定科目は、別途理事会で定める勘定科目表によって整理する。

(会計伝票)
第12条 会計に関する取引は、すべて証憑書類により発行する伝票により処理する。
2 伝票の記載は簿記の原則により、明瞭的確におこなう。
3 伝票は日付、勘定科目、金額、その他取引内容を明確に記載する。
4 伝票の金額は訂正することはできない。

(月計表)
第13条 月計表は、日々の伝票の総取引金額を勘定科目別に集計記入する。

(総勘定試算表)
第14条 正味財産増減計算書は、期末最終月計表から集計作成する。

第3章 金銭等の会計
(金銭等の範囲)
第15条 この細則で金銭等とは、現金、預金をいう。

(出納責任者)
第16条 金銭等の出納及び保管に関しては、当該事務を担当する会計担当理事が責任を負う。

(出納)
第17条 金銭等の出納は、理事長の捺印した伝票及び証憑書類により会計担当理事がこれを行う。但し、次条に定める小口現金による支払いについては、この限りではない。
2 金銭等の収納に関しては、所定の領収書を発行し、支払いに関しては、相手方より適正な領収書、証憑書類を受領しなければならない。
3 収納された金銭は、原則として、これを遅滞なく銀行に預け入れなければならない。

(管理会社の業務)
第18条 管理会社に収納出納業務を行わせる場合には別途事務取扱方法を定める。

(小口現金)
第19条 小口現金とは、日常経費に充てるために、原則として定額前渡制によるものとし、5万円を限度として毎月末又は払い出しのつど清算の上補給するものとする。25万円を超える支払いは銀行送金の方法にて行う。

第4章 資金会計
(資金繰)
第20条 資金を有効適切に運営するため、必要がある場合には収支予算に基づき資金繰り表を作成する。

(預金口座と会計区分)
第21条 預金口座の設定及び運用に関する会計処理は、第3条による会計区分によって行うものとする。
2 銀行取引を行う金融機関は理事会の承認を得て決定する。
3 銀行預金の口座名義は管理組合名義としなければならない。

(資金の借り入れ)
第22条 特別の管理に必要な資金の借り入れは、管理規約第60条に定めるところにより、総会の決議を経た後、理事会の指示によりこれを実行する。

第5章 予算
(目的)
第23条 この細則で予算とは収支計画に基づき編成し、その予定される収支の内容を明らかにするとともに予算と実績の比較検討を行い、管理組合会計の合理的な運営を目的とする。
(予算区分)
第24条 予算区分は会計区分に準じて次の通り区分する。
一 一般会計
(一)管理費会計
(二)修繕積立金会計
二 特別会計

(予算編成)
第25条 予算原案は会計担当理事が作成し理事会の承認を経た後、管理規約 条の定めるところにより、総会の決議を経なければならない。

(予算期間)
第26条 予算期間は、一会計年度とする。

(実績評価)
第27条 月次決算及び年次決算終了後、理事会において予算と実績の比較をおこない、収支の内容を検討するとともに、次期の予算編成の資料とする。

(収支予算書の様式)
第28条 収支予算書は、所定様式に準じ作成するものとする。この場合において、管理費会計、修繕積立金会計及び特別会計を設けている時は、所定様式に準じ総括表を合わせて作成するものとする。

第6章 収支計算書
(収支計算書の内容)
第29条 収支計算書は、当該会計年度におけるすべての収入および支出の内容を明瞭に表示するものでなければならない。

(収支計算書の構成)
第30条 収支計算書は、収支の予算額と決算額とを対比して表示しなければならない。この場合において予算額と決算額との差異が著しい項目については、其の理由を収支計算書の備考欄に注記するものとする。

(収支計算書の様式)
第31条 収支計算書は、所定様式に準じ作成するものとする。この場合において特別会計を設けている時は、所定様式に準じ総括表を併せて作成するものとする。

第7章 正味財産増減計算書
(正味財産増減計算書の内容)
第32条 正味財産増減計算書は、当該会計年度における正味財産のすべての増減内容を明瞭に表示するものでなければならない。但し、正味財産の増減が極めて少額である場合等相当な理由があるときは、正味財産増減計算書を省略することができる。この場合においては、当該項目及び金額を所定様式に準じ注記しなければならない。

(正味財産増減計算書の構成)
第33条 正味財産増減計算書は、資産及び負債の各科目別に増加額及び減少額を記載して当期正味財産増減増加額(減少額)を求め、これに前期繰越正味財産額を加算して期末正味財産合計額を表示しなければならない。但し、資産及び負債の各科目別に増加額及び減少額を記載する方法に代えて、当期正味財産増加額(減少額)の発生原因を示す方法を用いることができる。

(正味財産増減計算書の様式)
第34条 正味財産増減計算書は、所定様式(前条但し書きの方法を用いる場合にあっては所定様式)に準じ作成するものとする。この場合において、管理費会計、修繕積立金会計及び特別会計を設けている時は、所定様式に準じ総括表を併せて作成するものとする。

第8章 貸借対照表
(貸借対照表の内容)
第35条 貸借対照表は、当該会計年度現在におけるすべての資産、負債及び正味財産の状態を明確に表示するものでなければならない。

(貸借対照表の区分)
第36条 貸借対照表は、資産の部、負債の部及び正味財産の部に分かち、更に資産の部を流動資産及び固定資産に、負債の部を流動負債及び固定負債に区分しなければならない。

(資産の貸借対照表価額)
第37条 資産の貸借対照表価額は、取得価額又はこの額から相当の減価額を控除した額とする。交換、受贈等によって取得した資産の取得価額は、その取得時における公正な評価額とする。

(正味財産)
第38条 正味財産の部には、基本金及び当期正味財産増加額(減少額)を内書として記載するものとする。

(貸借対照表の様式)
第39条 貸借対照表は、所定様式に準じ作成するものとする。この場合において、管理費会計、修繕積立金会計、及び特別会計を設けている時は、所定様式に準じ総括表を併せて作成する。

第9章 財産目録
(財産目録の内容)
第40条 財産目録は、当該会計年度末現在におけるすべての資産及び負債につき、その名称、数量、価額等の明細を表示するものでなければならない。

(財産目録の区分)
第41条 財産目録は、貸借対照表の区分に準じ、資産の部及び負債の部に区分し、正味財産の額を示さなければならない。

(財産目録の価額)
第42条 財産目録の価額は、貸借対照表記載の価額と同一とする。

(財産目録の様式)
第43条 財産目録は、所定様式に準じ作成する。

第10章 計算書類の注記
(注記事項)
第44条 計算書類には、次の事項を注記しなければならない。
一 資産評価の方法、固定資産の減価償却、引当金の計上基準、資金の範囲等計算書類の作成に関する重要な会計方針。
二 重要な会計方針を変更したときは、その旨及び当該変更による影響額。
三 基本財産の増減額及びその残高。
四 担保に供している資産
五 次期繰り越し収支差額の内容。
六 固定資産について直接法によって減価償却を行っている場合には、当該資産の取得価額、減価償却累計額及び当期末残高。
七 保証債務
八 正味財産増減計算書を省略する場合又は正味財産増減計算書の作成に当たり、第32条の但し書きの方法を用いる場合に当たっては、資産及び負債の重要な科目別増加額及び減少額。
十 その他管理組合の収支及び財産の状況を明らかにするために必要な事項。

(注記事項の記載様式)
第45条 計算書類に対する注記事項は、所定様式に準じ記載するものとする。

第11章 監査
(監査要領)
第46条 監査に関しては別に定める内部監査実施要領による。

第12章 閲覧
第47条 管理組合は、会計帳簿を保管し、組合員の書面による請求があったときは、議事録の閲覧をさせなければならない。この場合において、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。

付則(実施期日)
1 この細則は平成 年 月 日より施行する。

「マンション管理紛争解決マニュアル・國重愼二著」より

 

スポンサードリンク