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マンション役員が共同して賠償責任がある場合、その責任追及は、管理組合の総会の決議によってなされるべきです。

つまり、損害賠償の請求は、管理組合の新たに選任された理事長が総会の決議に基づいて、義務を負担している前理事長や理事に対して行うことになります。

したがって、総会でこの請求をしなければ、結果的に理事等は責任を負わないことになります。

では、個々の組合員が個別に理事に対し賠償の請求ができるかといいますと、それはできません。

というのは、理事は、管理組合の総会で選任され、管理組合の役員としてその職務を遂行する立場にあるわけですから、この職務遂行の過程で発生した義務違反行為者による損害賠償義務も組合に対する負担であり、個人の組合員に対するものではないからです。

裁判例で、管理組合の理事長が総会の決議に基づく業務を執行せず工事を遅らせたため工事費が増加したとして差額分の損害を組合員個人の名で管理組合に賠償するよう求めた事例において、裁判所は、区分所有法には株主の代表訴訟を定めた商法第267条のような規定はないこと、民法423条による債権者代位権の行使の要件を欠くこと、共同の利益違反(区分所有法6条、57条)の是正を求めるような団体的性格を有する権利は区分所有者全員が有し、其の行使は集会の決議によるべきこと、等を理由に其の請求を認めていません。(神戸地裁平成7年10月4日判決)
マンション管理紛争解決マニュアル・自由国民社より
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